米景気減速。急激に冷える不安も

 11月に入って発表された10月の米景気指標には、景気減速を示すものが増えました。10月の米ISM景況指数は、9月に比べて製造業・非製造業ともに低下しました。持ち直しつつあると見られていた米景気が再び失速する懸念もあります。

米ISM景況指数:2018年1月~2023年10月

出所:ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

 米景気の強さを象徴してきた雇用統計も、10月はやや軟化しました。

米雇用統計、完全失業率:2014年1月~2023年10月

出所:米労働省

 10月の完全失業率は3.9%でした。実質完全雇用に近い状態が続いていますが、4月の3.4%と比較すると0.5%ポイント上昇しています。

 10月の非農業部門雇用者は、前月比15万人増と、増加幅が縮小しました。米景気好調とみなされる「20万人増」を少し割り込みました。

米雇用統計、非農業部門雇用者数(前月比):2021年1月~2023年10月

出所:米労働省

 米雇用指標は、わずかに軟化しただけで、まだ十分に強い状況です。ただし、ここから悪化が加速するという見方も一部にあります。コロナ禍で形成された米国消費者の「過剰貯蓄」が底をつきつつあり、これまでしぶとく好調だった消費が、これから減速してくるとの見方につながっているからです。