先週末11月24日(金)の日経平均株価は3万3,625円で取引を終えました。週足ベースで4週連続の上昇となったものの、前週末終値(3万3,585円)からの上昇幅は約40円と小さく、単純な週末終値の比較では、大きな変化は見られなかったことになります。

 とはいえ、足元の株価水準は6月につけた高値(3万3,772円)をうかがうところに位置しており、先週の取引時間中には、この高値を超える場面も見られました。今週末からは12月相場入りとなり、2023年の最後の月を迎えることになりますが、「年末相場」に向けた株価上昇期待の行方が気になるところです。

 そこで、まずはいつものように、先週の日経平均の状況から確認し、今後の相場のポイントなどについて考えて行きたいと思います。

高値圏でもみ合う日経平均が意味するもの

<図1>日経平均(日足)の動き(2023年11月24日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

 あらためて、上の図1で先週の日経平均の値動きを振り返ると、6月19日の高値(3万3,772円)超えが焦点となる中で、図に描かれている「上値ライン」の攻防が続く展開でした。

 前回のレポートでは、「年初来高値までの距離が意外と遠いかもしれない」ことについて指摘していましたが、先週の値動きでは明確に上抜けできなかった格好です。

 とはいえ、株価が上値ラインで跳ね返されて下落に転じることなく、上値ライン付近でもみ合う展開が続いたことは、利益確定などの売りに押されながらも、上方向を目指す買いが入っていることを意味するため、株価の値動き自体は悪くないと言えます。

 さらに、売りと買いの攻防戦から脱した際には、抜けた方向への動きに勢いがつきやすくなる傾向があり、年末相場の上昇期待も高まってきます。特に、日経平均の年初来高値更新は、バブル崩壊後の高値を33年ぶりに更新することでもあるため、日本株が新たな局面に入ったという見方を強めて、株価が大きく上振れする可能性も出てきそうです。

 もちろん、攻防戦の結果、上値ラインが株価の抵抗として機能してしまう「下落シナリオ」も残されていますが、チャートを全体的に見れば、やや上方向が優勢の印象です。

米国株市場も高値トライの動きを見せているが…

 続いて、米国株市場の動きについても見ていきます。

<図2>米NYダウ(週足)の動き(2023年11月24日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

<図3>米S&P500(週足)の動き(2023年11月24日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

<図4>米NASDAQ(週足)の動き(2023年11月24日時点)

出所:MARKETSPEEDIIを元に筆者作成

 上の図2~図4を見ても分かるように、先週のNYダウ(ダウ・ジョーンズ工業株平均株価)やS&P500種指数(S&P)、ナスダック(ナスダック総合指数)といった主要株価3指数は、日経平均と同様に年初来高値の更新をトライするような動きとなっています。

 ただし、米国株にはさらにその先にも目標地点があり、NYダウとS&P500は2022年1月に、ナスダックは2021年11月につけた最高値がそれにあたります。

 したがって、目先の年初来高値の更新は、あくまでも「通過点」で、足元の株価上昇の勢いのまま、今後も最高値を目指して行けるのかが次の焦点になります。

 とはいえ、11月に入ってからの米株価指数の上昇率は過去と比べてもかなり高く、すでに株価上昇のエネルギーの多くを消耗していることも考えられ、次第に株価が失速していく展開も想定しておく必要があります。

 実際に、図2と図3で、昨年(2022年)のNYダウとS&P500の値動きを振り返ると、両者とも、10月に株価が底を打ち、11月に大きく上昇しており、今年(2023年)と似たタイミングで株価が動き出していますが、その後は12月上旬から半ばに上昇がストップし、年末にかけて株価が調整していきました。

 必ずしも歴史が繰り返されるわけではありませんが、足元では強気の見方が増えているだけに、株価が思ったよりも早くストップしてしまうシナリオが浮上してくると、年末まで株価の上昇が続かないほか、思ったよりも株価が下がってしまうこともあり得るため、意識しておいた方が良い点かもしれません。

 まずは、米クリスマス商戦の滑り出しやベージュブック、米10月PCE(個人消費支出)など、米国で今週注目されている材料を受けて、株価がさらに上昇していけるのか、上値が重たくなるのか、それとも下落に転じてしまうのか等を見極めて行くことになります。