米国政府は酔っぱらいの船乗りのような支出をやめるべきだ!

 FRB(米連邦準備制度理事会)は市場の予想通り金利を据え置いた2022年3月のゼロ金利解除後で初めて2会合連続での利上げの見送りである。FRBはもう利上げをする理由がなくなっているのだ。なぜなら、「イエレンの米財務省自身が容赦ない国債発行で利回りを引き上げ、FRBの仕事を代行している」からである。

 スタンレー・ドラッケンミラーは、「政府は酔っぱらいの船乗りのような支出をやめるべきだ!」と激しい口調で米財務省を批判している。

 債券王のジェフリー・ガンドラックは、「私の予想通り景気が後退すれば、FOMC(米連邦公開市場委員会)は0.5ポイントの利下げではなく、2ポイントの利下げに踏み切るだろう」と語った。

 借入コスト上昇の問題は、ウイルスのように金融エコシステム全体をむしばみつつある。金利上昇の最大の問題点は、債務の増大と財政赤字の増加により、経済が金利上昇を維持できないことにある。

 この先、資産と負債を両方膨らませてきた中央銀行が経験するのは、グリーンスパン以降続けてきた(資産価格バブルには事前に働きかけず、資産価格バブルの崩壊後の経済に対する逆風を思い切り緩和的な金融政策で極力相殺するという)「後始末戦略」の後始末である。結局のところ、どの国でも不換紙幣制度の最終段階は「インフレ」であることが証明されている。

米国債務時計

出所:usdebtclock (2023年11月2日の米国債務時計)

ゴールド価格の推移と米国の公的債務の推移(1970年から2023年)

出所:ビジュアルキャピタリスト

ゴールドCFD(日足)

(赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター(メガトレンドフォローの売買シグナル)