毎週金曜日午後掲載

本レポートに掲載した銘柄ディスコ(6146、東証プライム)マイクロソフト(MSFT、NASDAQ)、アルファベット(GOOGLGOOG、NASDAQ)

ディスコ

1.2024年3月期2Qは、9.1%減収、15.7%営業減益だが、今1Q比では大幅増収増益

 ディスコの2024年3月期2Q(2023年7-9月期、以下今2Q)は、売上高722.98億円(前年比9.1%減)、営業利益280.37億円(同15.7%減)となりました。前2Qが好調だったため前年比では減収減益となりましたが、今1Q比では検収が進んだこともあり大幅増収増益となりました。

 顧客の投資意欲を測る上で重要な全社出荷額は793.62億円(同9.5%増)となり、今1Q677.81億円からも増加し、過去最高の出荷額となりました。パワー半導体向けダイサ(シリコンウェハを四角いチップに切り出す)、グラインダ(シリコンウェハの底面を薄く削る)、ロジック半導体向けダイサ、グラインダ、CMOSイメージセンサ向けダイサが増加しました。ただし、OSAT(後工程専門業者)向けの量産用グラインダ(主にパソコン、スマートフォン向け)は低調でした。

 精密加工ツール(ブレード、消耗品)も順調に伸びました。パワー半導体の中でも最新のSiC(シリコンカーバイド)向けはSiCウェハが固く脆い性質であるため、通常よりも単価の高いダイサ、グラインダを使いますが、ブレードの消耗も激しいため、精密加工ツールの伸びに寄与している模様です。

表1 ディスコの業績

株価    26,960円(2023/10/26)
発行済み株数    108,332千株
時価総額    2,920,631百万円(2023/10/26)
単位:百万円、円
出所:会社資料より楽天証券作成
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:発行済み株数は自己株式を除いたもの。
注3:2023年4月1日付けで1対3の株式分割を実施。これに対応して過去の配当額を遡及修正している。

表2 ディスコ:連結受注高、売上高、出荷額

単位:億円(端数切捨て)、%
出所:会社資料より楽天証券作成
注:受注高は2023年3月期より非開示。

グラフ1 ディスコ:売上高、受注高、出荷額(連結ベース)

​単位:百万円、出所:会社資料より楽天証券作成、注:受注高は2023年3月期1Qより非開示

グラフ2 ディスコの製品別出荷額

単位:100万円、出所:会社資料より楽天証券作成、注:2023年3月期4Q会社予想は各製品別売上構成比の実績と各製品の会社予想前期比より楽天証券計算

2.今3Qの会社予想出荷額は今2Q比減収見込みだが、上乗せ期待がある

 会社予想では、今3Q出荷額は751億円となり、今2Q比で小幅減収となる見込みです。ただしこれは、想定為替レートを今2Q実績1ドル=145.6円に対して今3Qは1ドル=140円とやや円高に想定していること、ダイサ、グラインダの売上高を今2Q比横ばいと想定しているにも関わらず精密加工ツール売上高を今2Q比10%減と予想しており、保守的に予想しているためです。今3Q出荷額の会社予想には上乗せの余地があると思われます。

 会社側によれば、生成AI向けダイサ、グラインダが今4Q(2024年1-3月期)から本格的に出荷される予定です。生成AI向けダイサ、グラインダは、AI用GPU向けとAI用GPUに付属するHBM(DRAMをベースにした大容量広帯域の高速特殊メモリ)向けの2つに分かれますが、売上高が大きいのはHBM向けです。HBMは工程が複雑で、前工程に近い工程でグラインダによる切削が必要になるため、高クリーン対応型のグラインダが必要になります。価格は通常型の約2倍です。

 これまで好調だった中国向けは中国でのシリコンベースのパワー半導体の設備投資が今3Qには一服する見込みなので、シリコンベースパワー半導体向けダイサ、グラインダも一服すると予想されます。ただし、SiCパワー半導体の設備投資は各国で活発であり、日本、欧米、中国向けにSiCパワー半導体用ダイサ、グラインダの出荷が続くと予想されます。

 会社側は今3Q業績を売上高755億円(前年比14.7%増)、営業利益284億円(同17.1%増)と予想しています。検収が進むことで業績順調で、前年比では増収増益に転換するという予想です。なお、今3Qに羽田R&Dセンターの建て替えに伴い約75億円の減損(特別損失)を計上する予定です。このため、今3Qと2024年3月期通期の当期利益の水準は通常よりも低くなる見込みです。

 このような状況から、楽天証券ではディスコの2024年3月期通期を売上高2,870億円(前年比1.0%増)、営業利益1,060億円(同4.0%減)と予想します。また2025年3月期は生成AI向けダイサ、グラインダの出荷が増加すると予想されること、半導体デバイスセクター全体の回復と半導体設備投資の回復期待もあることから、売上高3,500億円(同22.0%増)、営業利益1,440億円(同35.8%増)と予想します。いずれも前回予想の2024年3月期売上高2,660億円、営業利益920億円、2025年3月期売上高3,400億円、営業利益1,290億円から上方修正します。

3.今後6~12カ月間の目標株価を前回の3万2,000円から3万5,000円に引き上げる

 ディスコの今後6~12カ月の目標株価を、前回の3万2,000円から3万5,000円に引き上げます。2025年3月期楽天証券予想EPS(1株当たり利益)987.7円に、成長性を評価してPEG=1倍前後として想定PER(株価収益率)35~40倍を当てはめました。

 引き続き中長期で投資妙味を感じます。