3 山口FG(8418・東証プライム)

 山口県を地盤とする山口銀行と、広島県を地盤とするもみじホールディングスが経営統合して、2006年10月に設立された持株会社です。2011年には北九州市に本店を置く唯一の地方銀行として北九州銀行の営業も開始しています。

 中国地方最大の地域金融グループとなっています。2023年3月期には、山口キャピタル、ワイエムリース、やまぎんカード、もみじカードをそれぞれ完全子会社化しています。中期計画では、2025年3月期純利益330億円を目標としています。

 2024年3月期第1四半期純利益は87億円で前年同期比15.0%増となっています。貸出金利息の増加などによって、経常収益が大幅に拡大しています。通期計画は期初計画を据え置いており、240億円で前期比34.1%増を見込んでいます。

 キャピタル収益を中心に有価証券運用収益が大きく拡大することが主因で、与信費用の改善なども見込まれるようです。第1四半期の進捗率は36.6%の水準となっています。なお、年間配当金は前期比12円増の43円を計画しています。

 2012年3月期以降は連続増配を続けており、2024年3月期は13期連続増配の見通しとなっています。配当性向40%程度を目標としている中、中期計画では2025年3月期純利益の大幅増益を見込んでいるため、来期にも大幅な増配が行われる可能性は高いと判断されます。

 日銀の金融緩和政策の修正は遠くない時期に実施されるとみられますが、地銀セクターはその際に最も大きなメリットが得られるものとして注目されます。PBRは0.5倍未満の水準であり、地銀の中でも株価の上昇余地は大きいと考えます。

4 芙蓉総合リース(8424・東証プライム)

 リース業界大手の一角でみずほ系です。6月末の営業資産残高は2兆7,341億円で、うちリース資産残高は1兆6,810億円となっています。物件別リース契約実行高では、建物等、情報・事務用機器、輸送用機器などのセグメントが上位となっています。

 エネルギー環境やモビリティ、BPO(ビジネス・プロセス・アウトソーシング)などの領域を成長ドライバーと位置付けています。足元では「地域特化型ヘルスケアファンド」運営会社を設立しています。2027年3月期には配当性向30%以上を目指すとしています。

 2024年3月期第1四半期経常利益は138億円で前年同期比6.6%増となりました。成長ドライバーに位置付ける事業が好調に推移してコスト増を吸収、第1四半期としては過去最高を更新しています。通期では640億円で前期比7.2%増の見通しです。

 エネルギー環境事業や不動産事業がけん引して営業資産残高は順調に拡大しており、売上高の増加を見込んでいるようです。年間配当金は前期比47円増配となる390円を計画しています。

 2004年の12月に株式を上場し、2005年3月期に初配当を実施、2024年3月期は19期連続増配の見通しとなっています。全上場企業においても連続増配記録の上位銘柄として位置づけられています。

 会社側では、2027年3月期に配当性向30%以上を目指すとしており、今後も当面は増配基調が継続される見通しです。また、3,000円相当の「カタログギフト」または「図書カード」を贈呈する株主優待も行っています。保有期間が2年以上となれば、5,000円相当のものとなります。

5 積水化学工業(4204・東証プライム)

 高機能プラスチック、住宅、環境・ライフラインが3本柱となっています。高機能プラスチックでは、自動車ガラス向け中間膜、液晶向け素材、塩ビ管など、高機能製品から汎用品まで幅広く手がけており、とりわけ、中間膜では世界シェア40~50%と推定されています。

 住宅はユニット工法を採用した「セキスイハイム」を展開、累積60万棟以上を販売しています。環境・ライフラインでは塩ビ管材などで国内有数のシェアを誇っています。中期計画では、2026年3月期営業利益1,150億円を目標としています。

 2024年3月期第1四半期営業利益は152億円で前年同期比10.4%増となっています。エレクトロニクス分野が低調で高機能プラスチックは減益となりましたが、単価アップによる住宅の伸長、環境・ライフラインの利益率向上がけん引しました。

 政策保有株の売却が進み、純利益は大幅増益となっています。通期営業利益は1,000億円で前期比9.1%増の見通しを据え置き、第1四半期は売上高が下振れながら、利益は計画線での推移となっているようです。年間配当金は前期比7円増の66円を計画しています。

 2011年3月期より増配を続けており、2024年3月期は15期連続での増配となる見通しです。また、2014年3月期以降は毎年自社株買いを実施中でもあります。株主還元に関しては、連結配当性向40%以上、DOE(自己資本配当率)3%以上などを掲げているようです。

 化学セクターの中では数少ない第1四半期営業増益銘柄であるほか、住宅事業の環境も現在は厳しい状況と捉えられます。こうした厳しい環境下で順調な業績推移を示していることから、来期以降の業績には安心感も持てそうです。