新NISAスタートを控えて、連続増配を続ける銘柄群にも注目
2024年からの新NISAスタートを控え、今後も年末にかけてNISAの話題が盛り上がることが予想されます。NISAの投資対象としては、もちろん高配当利回り銘柄が挙げられますが、同時に連続増配銘柄なども有望と考えられます。
今後も年々配当水準が切り上がっていく可能性は高く、仮に株価が一定水準で推移したとしても、将来的な配当利回り妙味は高まることになります。今回は連続増配を続けながら、現段階でも高配当利回りの水準にある銘柄をスクリーニングしています。新NISAの有望な投資対象として、現段階で仕込んでおくことも一考すべきと考えられます。
連続増配銘柄として、「日経連続増配株指数」構成銘柄に注目しています。これは、国内上場銘柄のうち連続増配を続ける銘柄から構成される時価総額ウエート方式の株価指数です。原則として10年以上連続して増配する企業70銘柄を対象に算出しているようです。
なお、個別銘柄への投資ということを考慮して、リスクを抑える観点から時価総額3,000億円以上という大型株をスクリーニング算出の対象としています。
(表)連続増配を続ける高配当利回り銘柄
コード | 銘柄名 | 配当利回り (%) |
10月16日 終値 (円) |
時価総額 (億円) |
PBR (倍) |
株価 騰落率 (%) |
|||||
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8593 | 三菱HCキャピタル | 3.81 | 970.0 | 14,229 | 0.91 | 49.46 | |||||
1925 | 大和ハウス工業 | 3.44 | 3,923.0 | 26,140 | 1.13 | 29.09 | |||||
8418 | 山口フィナンシャルG | 3.34 | 1,288.0 | 3,404 | 0.47 | 49.59 | |||||
8424 | 芙蓉総合リース | 3.33 | 11,710.0 | 3,546 | 0.96 | 35.85 | |||||
4204 | 積水化学工業 | 3.23 | 2,045.5 | 9,481 | 1.25 | 10.87 | |||||
注:株価騰落率は年初来 |
銘柄選定の要件
- 日経連続増配株指数構成銘柄
- 配当利回りが3.2%以上(10月16日現在)
- 今期増配予想銘柄
- 時価総額が3,000億円以上
厳選・高配当銘柄(5銘柄)
1 三菱HCキャピタル(8593・東証プライム)
三菱UFJグループでリース業界の最大手企業、営業資産残高は6月末時点で9兆8,902円の水準になっています。2021年4月に三菱UFJリースと日立キャピタルが統合して発足しました。
リース、割賦・貸付などのカスタマーソリューション事業が主力で、航空事業、不動産事業、ロジスティック事業、環境エネルギー事業など幅広く展開しています。2026年3月期までの中期計画では、ROE10%程度の計数目標、配当性向40%程度などのイメージが示されています。
2024年3月期第1四半期純利益は351億円で前年同期比9.6%増となっています。海外地域における貸倒関連費用や米子会社再編に伴う経費増などは重しとなりましたが、リース収入の増加など航空事業が好調であったほか、不動産事業におけるセンターポイント・ディベロップメントの完全子会社化に伴う特別利益の計上などが収益の押し上げ要因となりました。
通期計画は1,200億円、前期比3.2%増の見通しです。第1四半期の進捗(しんちょく)率は29.3%と順調です。年間配当金は前期比4円増配となる37円を計画しています。
2000年3月期から連続増配を行っており、2024年3月期は25期連続増配の見通しとなっています。会社側では、株主還元は配当によって行うことを基本とし、利益成長を通じて配当総額を持続的に高めていく方針としています。
再生可能エネルギーの普及拡大など環境エネルギー事業を中心に、業績は当面安定した拡大が続く可能性が高く、高い配当性向目標(40%以上)から、それに伴う配当成長も期待できます。三菱UFJグループの金融関連企業でもあり、長期投資に向けての買い安心感が強い銘柄と捉えられるでしょう。
2 大和ハウス工業(1925・東証プライム)
大手住宅会社の一角であり、積水ハウス(1928)との比較では、商業施設や事業施設などの構成比が高いほか、住宅でも賃貸住宅の比率が高いことが特徴となっています。海外での不動産投資なども積極的に手掛けているほか、豊富なメニューを要因とした地主への土地活用の提案力が強みとも指摘されています。
なお、戸建て住宅事業については、近年では米国で国内以上の戸数を販売する状況になっています。
2024年3月期第1四半期営業利益は930億円で前年同期比55.9%増となっています。物流施設を中心に開発物件売却が順調に推移したほか、ホテル事業もコロナ禍から順調に回復し、米国戸建住宅および中国マンションの引渡しなども順調のようです。通期では3,800億円、前期比18.3%減の予想を据え置いています。
減益となるのは、前期において退職給付債務に関する一時的な押し上げ要因があり、それが一巡するためです。この影響を除いたベースでは、前期比3.0%増益の見通しです。年間配当金は前期比5円増の135円を計画しています。
2024年3月期は13期連続での増配実施予定となっています。株主還元策としてはその他、6月から2024年3月末にかけて、上限350億円の自社株買いを実施中でもあります。ROE13%以上を目指す方針であることから、自社株買いは来年度も継続して行われる可能性があるでしょう。
収益に占める米国事業のウエートが高まってきていることからも、今後は米国での利上げ打ち止めが業績面でもポジティブに働いていくことが想定されます。