注目が集まった「ゼロコロナ」後初の国慶節長期休暇

 先週のレポートで、景気の回復が遅れる中国経済にとって、新型コロナウイルスの感染拡大を徹底的に封じ込めるために取られてきた「ゼロコロナ」策解除後初めて迎える国慶節長期休暇が起爆剤になるか、という問題提起をしました。実際、今年の長期休暇は中秋節と国慶節を合わせた8連休(9月29日~10月6日)となり、その経済効果に対する期待はさらに高まりました。

 この期間のヒトの移動や観光動向・収入に関して、政府機関である交通運輸部や文化観光部が続々と統計結果を発表しています。見ていきましょう。

 8連休の期間中、省、直轄市、自治区(日本の都道府県に相当)といった行政区域をまたいだ人の移動は延べ22億人に達したとのこと。また、同期間中の旅客輸送人数は延べ4億5,800万人、1日当たりでは延べ5,727万7,000人となり、昨年の国慶節休暇7日間(10月1~7日)の1日当たりの人数対比で57.1%増となりました。

 また、8日間における国内旅行者数は延べ8億2,600万人で、前年比71.3%増。観光収入は7,534億元(約15兆0,680億円)で、同2.3倍となりました。コロナ禍前の2019年比で見ると、国内旅行者数が4.1%増、観光収入が1.5%増だったとのことです。

 さらに、出入国者数を見ると、8連休中における1日当たりの出入国者数は平均147万7,000人で前年の約4倍。コロナ禍前の2019年の85%まで戻ってきました。

 このように見ると、「ゼロコロナ」解除を受けて、国内、および国境を越えた人の移動が大分活発化してきているようです。一方、国慶節を迎える前、中国政府は、国内旅行者数8億9,600万人、出入国者数1日当たり158万人を見込んでいましたが、結果はいずれも予想を下回っています。中国政府が見込んだほど回復しなかったということであり、今年残り3カ月を切った中国経済にとっての景気刺激効果に関しても現時点では不透明とみるべきでしょう。

 10月18日(水)に発表される予定の、7-9月期経済指標(GDP(国内総生産)、固定資産投資、工業生産、小売売上高など)に注目したいと思います。