風が吹けば桶屋がもうかる

 次に、今まで以上に論理的になれる、ことについて述べます。もっとも単純な論理式は「A=B(AならばB)」です。これを数珠状につないだ言葉が「風が吹けば桶屋がもうかる」です。

 風が吹き→埃が舞って→埃が目に入った人が眼病を患い→目が不自由な人が増え→三味線を弾く人が増え→三味線の皮(猫の皮)の需要が増え→猫の数が減り→ネズミの数が増え→ネズミに多くの桶がかじられ→桶屋がもうかるという式です(諸説あり)。

図:市民に身近な品目の小売価格(東京23区)推移(税込) 単位:円

出所:総務省統計局のデータをもとに筆者作成

 こうした論理式は、われわれ市民の身近にもあります。ウクライナ危機勃発を機に、農産物やエネルギーの価格が高止まりしています(急騰劇は終わったが、高い状態が続いている)。

 高止まり→エサ代・輸送費・包装費上昇→鶏卵価格上昇、そして、高止まり→小麦粉価格・加工費・包装費・輸送費上昇→カップ麺価格上昇、また、高止まり→物価高→賃金上昇→人件費上昇→鶏卵・カップ麺価格なお上昇、などの式が実際に起きています。

 輸送費や加工費に直接的に関わるエネルギー価格の動向や、食品の原材料価格に直接的に関わる農産物価格の動向は、コモディティ市場を分析することで考えを深めることができます。

 コモディティ市場を分析することで、身近な品目の価格上昇が世界情勢と結びついていることを知るケースは多々あります。

 表面的な事象だけを見ていては、つながりを知ることは到底できません。論理的思考に基づいたつながりを意識した思考は、人生を豊かにするために欠かせないスキルだと考えます。