最上流に「コモディティ」あり
次に、今まで以上に俯瞰的になれる、ことについて述べます。特に近年の主要国の中央銀行の政策は、インフレ(物価高)の動向を意識したものになっています。このため、以下のイメージ図のとおり、コモディティの需給・価格の動向は、市場動向や雇用動向などの川下よりも、金融政策や景気動向、物価動向などの川中よりも、上流に位置しています。
ウクライナ危機が勃発したことで局地的あるいは玉突き的に、世界各地でさまざまなコモディティの供給懸念が発生しています。
こうした供給懸念がコモディティ価格を高止まりさせ、その高止まりにより高インフレが長引いており、それにより主要な中央銀行で利上げが続き、景気動向が不安定化している、そしてその不安定化した経済情勢の中で、各種市場が動いている、という構図です。
材料の頂点(最上流)は何かと問われれば、コモディティの需給・価格と答えることになるでしょう。ここに、「俯瞰(鳥の目になり、上空からたくさんの物事を一度に見下ろすこと)」の考え方があります。
コモディティの市場動向を考えることは、おのずと世の中を俯瞰することにつながっているのです。
コモディティの市場動向を考えているうちに、自然に俯瞰することの重要性とそれを実践する感覚が身に付くのです。俯瞰は前提をとらえたスマートな議論に欠かせないスキルです。人生を豊かにするスキルの一つだと言えるでしょう。