米国高配当株1:ユニバーサル(UVV)

 1918年の創業以来、タバコを中心に事業を展開している世界有数の葉タバコサプライヤーです。

 タバコメーカー向けに黄色種、バーレー種、ダークタバコの調達、加工事業を展開しています。

 B to Bのグローバル企業であり、5大陸30カ国以上で2万人以上の従業員とともに事業を展開しています。

 タバコ事業以外に農産物加工事業も展開しており、加工原料製品の販売や関連サービスの提供を通じて、世界中の消費者製品メーカーを支援しています。

 時価総額は11.5億ドルで、日本円で約1,700億円となっています(1USD=147円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は、「タバコ事業(Tobacco Operations)」で、続いて「原材料事業(Ingredients Operations)」となります。

「タバコ事業」では、世界各地のタバコ製品メーカーに販売する葉タバコの契約、調達、融資、加工、包装、保管、出荷を行っています。

 また、「原材料事業」では大手多国籍食品・飲料メーカー向けに飲食可能な植物由来の原料を提供しており、それらが形を変えフルーツジュースや野菜ジュースなどとなって消費者に届いています。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

競合他社

 競合他社として、農業サプライチェーンに携わり、貿易、再生可能エネルギー、植物栄養の分野で3つのセグメントを通じて事業を展開するアンダーソンズ(ANDE)、中国に本拠を置き、科学研究、技術と製品開発、サプライチェーン管理からオフライン配布まで、電子タバコ業界での活動を行うRLXテクノロジー(RLX)、ブランド消費者製品の製造・マーケティング・販売代理を行うターニング・ポイント・ブランズ(TPB)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初の水準を下回って推移していますが、配当は53年連続で増配中です。直近の決算で「原材料事業」の業績が芳しくなかったことでユニバーサル全体の業績が悪化しており、それに伴って株価は下落しています。

 しかし、1年前もユニバーサルを紹介しましたがそのときと同程度の水準まで株価は下落しており、それに伴って配当も6%台後半と高水準になっています。

 会社側は、顧客が現在のサプライチェーンの状況と、最終消費者のインフレ価格圧力を反映して在庫を調整していることが業績悪化につながっているが、それは一時的なもので、需要と利益率の悪化は次第に改善していくだろうと予想しています。

 業績回復を期待して、中長期で高配当を享受するのも良いのではないでしょうか。

業績動向

 この企業は業績の市場予想は発表されていません。2023年8月2日開示の四半期決算では、売上は前年同期比を上回りましたが、1株利益は前年同期比を下回りました。

「タバコ事業」ではタバコの販売価格が上昇したことと、各地域においてタバコの販売量が増加したことで前年同期と比較して業績が拡大したものの、「原材料事業」において植物由来原料プラットフォームへの設備投資や、顧客がサプライチェーンの不確実性に備えて在庫を積み増した後に、原材料在庫の引き下げへ一斉にかじを切ったことによって業績が悪化しました。

 会社側は、顧客からの需要を活用するための十分な態勢を整えており、当社が行っている投資により、顧客に提供できる能力と製品の範囲が拡大するため、現在および将来の顧客にとってより強力なパートナーになると確信していると発表しており、今後の業績回復が期待されます。

注意点

 新興国通貨に対して米ドルが強くなっていることで、タバコ生産を行う新興国などで為替差損が発生しており、今後の米ドル高によって業績に悪影響を及ぼす可能性がある点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:3.2ドル
配当利回り:6.70%
株価:47.75ドル(約7,000円)

 この銘柄、権利落ち日は10月5日(権利実施は11月6日)です。

 配当利回りは915日時点で6.70%、株価は47.75ドルでおよそ7,000円から購入できます(1USD=147円計算)。
2020年からの最高値は63.73ドル、最安値は38.58ドルとなっています(終値ベース)。

米国高配当株2:バンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリア(BBVA)

 バンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリアは1857年に設立されたスペインに本拠を置く金融機関です。

 現在、世界30カ国以上で7,100万人の顧客に金融サービスを提供する多角的な事業を展開するグローバルな金融グループとなっています。

 イギリスの雑誌、「The Banker」においてバンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリアは世界の金融機関の中から選出される「トップ1,000銀行」において、2023年で第40位となっております。

 時価総額は447億ドルで、日本円で約66,000億円となっています(1USD=147円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は「スペイン事業(Spain)」で、続いて「メキシコ事業(Mexico)」、「南米事業(South America)」、「トルコ事業(Turkey)」、「その他事業(Rest of Business)」となります。

「スペイン事業」と「メキシコ事業」では、バンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリアが同国で営む銀行業務、保険業務、資産運用業務などの事業を表しており、「トルコ事業」では同国およびルーマニアとオランダでのGaranti BBVA ASの業務活動を表し、「南米事業」では、アルゼンチン、チリ、コロンビア、ペルー、ウルグアイ、ベネズエラにおける銀行業務、金融業務、保険業務、資産運用業務を表しています。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

株式の注目ポイント

 株価は年初の水準を上回って推移しており、配当は2021年から増配しています。

 業績が好調であることから株価は好調に推移しており、さらに会社側は6月末時点のCET1比率が12.99%であることから対応する監督当局の認可が下り次第、バンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリアは新たに10億ユーロの臨時自社株買いプログラムを実施することができると発表したこともあって株価は堅調に推移しています。

 株主還元を積極的に進めており、今後も好調な業績に伴う増配などが期待されます。

業績動向

 2023年7月28日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。

 バンコ・ビルバオ・ビスカヤ・アルヘンタリアはメキシコ最大の金融機関ですが、そのメキシコにおいて貸出残高は前年同期比11.1%増加、預かり資産は投資信託の基準価額上昇により7.3%増加、利益は6月まで前年同月比30.1%増の26億1,000万ユーロとなり非常に好調な状況となっています。

 それ以外の地域でも業績は好調に推移しており、さらに2023年1月から6月までの間に540万人の新規顧客を獲得していますが、その65%はデジタル・チャネルを通じての口座開設であり今後も金利の高止まりを背景に金利収入などを目的とした口座開設増加が期待されます。

 次回は2023年10月31日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。

注意点

 金利上昇により住宅ローン利用者が減っていることは懸念点であり、またマーケット全体が下落した際は投資信託評価減に伴う顧客の投資マインド低下などには注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:0.3686ドル
配当利回り:4.76%
株価:7.73ドル(約1,100円)

 この銘柄、権利落ち日は10月中旬の予定(権利実施は10月下旬)です。

 配当利回りは915日時点で4.76%、株価は7.73ドルでおよそ1,100円から購入できます(1USD=147円計算)。

 2020年3月からの最高値は8.08ドル、最安値は2.46ドルとなっています(終値ベース)。