中国は世界第2位のゴールド保有国!?
中国が引き続きゴールドの備蓄高を積み増している。PBoC(中国人民銀行)が9月7日に発表した2023年8月末の外貨準備の内訳によると、ゴールドの保有量は約2,165トンと、7月末から29トン(1.4%)増えたことがわかった。増加は10カ月連続でこの期間に保有割合を1割以上積み増している。
PBoCが公開している以上のゴールドを所有しているというのは、公然の秘密ではあるが、実際には公にされている数量の倍以上を持っていることが伝えられている。
9月10日にゼロヘッジに投稿された記事「中国の推定公的ゴールド準備残高は5,000トンを超える」によると、中国の公的ゴールド準備残高は6月末までに5,029トンに達したという。
中国のゴールド準備残高の推移(推計)
WGC(ワールド・ゴールド・カウンシル)は、四半期ごとに、全ての中央銀行と国際金融機関が購入したと推定されるゴールド地金の総額を公表している。この推計値は、公的データと業界の情報に基づいており、報告された購入と報告されていない購入が含まれている。
WGCの四半期推計は通常、中央銀行が報告した購入額を超えており、その差は公には報告されていない購入額を反映していると考えられている。これらの報告されていないゴールド購入のうち80%がPBoCの買いに関連しているという。
2022年第3四半期を例にとってみよう。WGCは、この期間に中央銀行が推定459トンのゴールドを購入したことを明らかにした。世界の中央銀行によって報告された購入量は109トンだった。
その差は350トンである。このうちの80%、つまり280トンはPBoCが密かに入手したものだと考えられる。なお、同期間(2022年第3四半期)における、PBoCのゴールド準備高の増減はゼロだと報告されている。
PBoCは2023年上半期に103トンの購入を報告したが、公にされていない購入が250トンを占め、合計353トンの純増となったと推計されている。
2023年上半期の購入量は2022年下半期に比べると34%減少したものの、中国のゴールドに対する需要は依然として強く、これがゴールド価格を押し上げる原動力の一つとなっている。中央銀行による買い増しは継続しており、ゴールド市場の長期的な強気トレンドを支えている。
世界のゴールド保有量の国別ランキング(2023年第2四半期末時点)
上のグラフは、Statistaの記事「2023年第2四半期時点 世界で最も多くのゴールドを保有する国トップ20(単位:トン)」のデータをもとに、2023年第2四半期末時点の国別のゴールド保有量をグラフ化したものである。もし推計通り、中国のゴールド保有が5,000トンを超えているとしたら、ドイツを上回る水準となることがわかる。
なお、中国の民間ゴールド準備高は2万4,698トンと推計されており、官民を合計すると中国本土のゴールド準備高は2万9,727トンとなる。中国は米中関係の緊張が高まると共に「無国籍通貨」といわれるゴールドの公的保有を積み増している。
人民元の国際化を目指す中国にとって、ゴールドの保有を増やすことは、ドル覇権への挑戦であるとの指摘もある。いずれにせよ、中国によるゴールドの爆買いが続く限り、ゴールド相場の下支えになりそうだ。