3 エクセディ(7278・東証プライム)

 マニュアルクラッチやトルクコンバータ(自動変速装置用部品)などを主力とする自動車部品メーカーです。25カ国に工場や営業拠点を有し、世界100カ国以上でビジネスを展開しています。

 EV・HEV(ハイブリッド自動車)向けなど脱炭素貢献製品の売上構成比を2030年までに15%に高めることを目標にしています。ドローン用製品、小型風力発電機などの領域にも展開しています。新事業開発のギアアップ、新アイデア継続的創出へ、2022年からベンチャーキャピタルへの投資なども積極化させています。

 2024年3月期第1四半期営業利益は24.1億円で前年同期の約2.3倍となっています。主力の自動変速装置関連事業で、受注回復や原材料高に伴う売価転換進展、円安の進行などによって、大きく収益が改善しています。

 通期計画は期初計画を据え置いており、130億円で前期比48.4%増を見込んでいます。自動変速装置関連領域における受注の拡大が続くと想定するほか、前期に計上した減損の一巡なども寄与する見通しです。なお、年間配当金は前期比30円増の120円を計画しています。

 9月末時点で、1年以上継続保有している100株以上の株主に対して、3,000円相当のWEBカタログギフトを贈呈しています。配当+優待のトータル利回りは年間で5.5%の水準となります。新ビジネス領域での展開積極化も今後注目されます。

 2023年8月にはドローン用製品の量産を開始、秋からはスマートロボットの実証実験開始、2024年2月には電動アシスト駆動ユニットを販売開始予定とし、さらに4月には大手ホームセンターでDIYアプリの実店舗検証開始を予定しています。

4 中電工(1941・東証プライム)

 中国電力系の電気工事会社です。中国電を主要顧客とする配電線工事、送変電工事のほか、ゼネコンや製造業、ホテルなど向け屋内電気工事、空調管工事、情報通信工事を手掛けています。

 地域別では中国地域が9割弱を占め、残りは都市圏で、マレーシアやシンガポールなど東南アジアに子会社を設置と海外にも事業拡大を図っています。都市圏・海外の売上構成比が年々高まっています。電力系設備工事会社の中では、相対的に自己資本比率が高い状況にあります。

 2024年3月期第1四半期営業損益は5.9億円の赤字で、前年同期比7.1億円の損益悪化となっています。材料費など売上原価の増加によって、工事採算性が低下したもようです。一方、通期では105億円で前期比25.6%増となる見通しです。

 第1四半期受注高は空調管工事の拡大などで前年同期比14.5%増と伸長しており、第2四半期以降の順調な収益拡大につながっていくとみられます。年間配当金は前期比横ばいとなる104円を計画しています。

 中国電では島根原発2号機を2024年8月に再稼働すると発表しています。中国電が具体的な再稼働時期を表明するのは初めてとなります。原発再稼働などによって中国電の収益向上が図れることは、同社にとっても追い風となる可能性が高いです。

 株主還元の方針としては、株主資本配当率(DOE)2.7%をメドに安定した配当を行うこととしています。結果、配当性向や配当利回りは電力工事業界各社の中でも高水準となっています。また、業績変動による減配リスクが小さい点は妙味になるでしょう。

5 日本郵政(6178・東証プライム)

 日本郵政公社の民営化に伴って発足した、日本郵便、ゆうちょ銀行、かんぽ生命保険を主要子会社とする持株会社です。日本全国2万4,000の郵便局ネットワークが強みとなっています。政府ではこれまで3度の保有株売出を実施し、2023年末の保有株比率は34.33%となっており、郵政民営化法で定められた下限の3分の1超まで低下しています。

 一方、保有しているゆうちょ銀やかんぽ生命の株式は将来的に完全処分を目指していますが、2023年3月末現在では、それぞれ60.6%、49.8%となっています。

 2024年3月期第1四半期当期純利益は85億円の赤字となりましたが、保有する楽天グループ株式に係る有価証券評価損850億円が主因です。経常利益は1,730億円で前年同期比6.4%増となっています。日本郵便は郵便・物流事業、窓口事業ともに低迷しましたが、かんぽ生命が大幅増益となってけん引する形になっています。

 通期純利益は2,400億円で前期比44.3%減の見通しとなっていますが、ゆうちょ銀の持分割合が89%から60%に低下することが減益見通しの主因です。年間配当金は前期比横ばいの50円を計画しています。

 ゆうちょ銀株の売却資金を活用して、5月には上限3,000億円の自社株買い実施を発表していますが、今後もゆうちょ銀、かんぽ生命保有株の段階的な売却に伴う自社株買いの継続が想定されます。

 中期的に評価を高めていくには、日本郵便事業の抜本的な構造改革策が必要になるとみられますが、短期的には、日銀の「マイナス金利」政策の解除接近観測が急速にクローズアップされてきていることで、ゆうちょ銀の収益改善期待が同社株の押し上げ要因にもつながっていく公算が大きいとみられます。