10カ月ぶり、原油価格は高値水準

 原油相場は足元、およそ10カ月ぶりの高値水準で推移しています。世界の指標であるWTI原油(西テキサス地域産の中質原油)は86ドル近辺、ブレント原油(英国とノルウェー間の北海でとれる原油)は89ドル近辺で推移しています(本稿執筆時点)。

 以下の図の通り、WTI原油はこのおよそ10カ月間続いたレンジ(74ドルを中心としたプラスマイナス10ドル程度)を上抜けています。

図:WTI原油先物価格(日足 期近 終値) 単位:ドル/バレル

出所:ブルームバーグなどのデータをもとに筆者作成

 振り返ればこのおよそ10カ月間、主要欧米銀行の連鎖破綻、米国の債務上限問題噴出、米国債の格下げ、OPECプラス(石油輸出国機構と一部の非加盟国)の追加減産開始および延長決定、米国シェール開発の停滞など、さまざまなことが起きました。

 こうした出来事がもたらした「不安(需要減少を想起)」と「減産(供給減少を想起)」が、レンジ相場を形成してきたと、言えます。

 とはいえ、原油相場はレンジを突き破りました。最近の数カ月間(6月以降)、原油相場を取り巻く環境が変化したと考えるのが自然だと、筆者は考えています。