3 ジャックス(8584・東証プライム)

 三菱UFJグループの大手信販会社です。いち早くキャッシングの上限金利を利息制限法内の18%以下に引き下げるなど堅実経営で知られています。

 ショッピングクレジットやオートローンなどのクレジット事業、クレジットカードや決済・家賃保証サービスなどのカード・ペイメント事業、住宅ローンなどのファイナンス事業、ASEAN4カ国で展開する海外事業を行っています。投資用マンション向け住宅ローン保証が成長、業界トップシェアとなっています。

 2024年3月期第1四半期営業利益は111億円で前年同期比24.7%増となっています。オートローンや住宅ローンの取扱高が拡大してけん引役となったほか、債権流動化に伴う債権譲渡益によって金融収益も増加しました。2024年3月期通期では335億円で前期比5.7%増の見込みであり、期初計画を据え置いています。

 取扱高の順調な成長を見込んでいますが、第1四半期の営業利益進捗(しんちょく)率(33.3%)からは上振れが見込めると考えられます。年間配当金は200円で前期比10円増を計画しています。5期連続での増配となります。

 足元では、海外事業の取扱高は拡大していますが、利益は伸び悩む状況となっています。各国の政策金利引き上げによる金融費用の増加が響く形のようです。ただ、世界的なインフレ鎮静化の兆しが見られている中、今後は米国や欧州などでも利上げ打ち止めが視野に入ってきています。

 同社にとっては懸念要因の後退につながるものとみられます。同社の配当性向はここ数年、30%台で安定推移となっていますが、今後は一段の還元姿勢の向上なども期待したいところです。

4 日本特殊陶業(5334・東証プライム)

 世界最大のセラミックス企業グループと位置付けられる森村グループの一員です。自動車部品では、スパークプラグで世界シェア45%、センサで同40%のシェアを占めています。

 ほか、半導体用のセラミック製品なども手掛けていますが、自動車部品が利益の大半を占めます。輸出比率が8割超ありますが、相対的に中国依存度は低く、欧州構成比が高くなっています。スパークプラグは補修用のウエートが高いため、比較的収益水準は安定しています。

 2024年3月期第1四半期の営業利益は284億円で前年同期比3.0%増となりました。自動車生産の回復に伴って、プラグやセンサなど主力の自動車関連事業が伸長し、為替の円安進展もプラスに寄与しました。2024年3月期通期では965億円で前期比8.2%増を見込んでいます。半導体製造装置用部品も年度後半にかけて徐々に回復すると見込んでいるようです。

 会社側の上半期営業利益は前年同期比2ケタ減益の計画であり、上半期中心に上振れ余地は大きいと考えられます。会社側では配当性向40%を基本方針としており、年間配当金は133円を計画、前期比33円の減配となりますが、業績上振れはストレートに増配につながることになります。

 第1四半期営業利益実績は市場コンセンサスを50億円程度上回るものとなっており、足元の業績は想定以上の推移と捉えられます。また、第1四半期決算発表時には、発行済み株式数の4.7%を上限とする自己株式の取得実施も発表しています。

 7月にはデンソー(6902)からスパークプラグ事業、および排ガス用酸素センサに係る事業を譲受することで基本合意と発表しています。同分野ではもともと世界トップシェアを誇っていますが、一段の基盤強化でさらなるスケールメリット拡大が期待されます。水素関連技術の高さなども注目点となります。

5 大同特殊鋼(5471・東証プライム)

 世界最大級の特殊鋼専業メーカーであり、大株主である日本製鉄と親密な関係にあります。自動車部品・ベアリング向けの型鍛造品、エンジンバルブやターボ関連製品を主力とする精密鋳造品、発電機、大型輸送機、プラント向けの自由鍛造品などが主力製品となっています。

 知多工場は世界最大級の特殊鋼量産工場となっています。2020年以降は事業の選択と集中を実践し、不採算事業の撤退なども活発に行っています。

 2024年3月期第1四半期営業利益は79.7億円で前年同期比21.7%減となりました。販売価格の改善で売上高は増加したものの、ステンレス鋼の在庫調整継続などにより、減益となっています。会社予想に対してはおおむね計画通りの推移のようです。2024年3月期通期では470億円、前期比横ばいとなる見通しです。

 ステンレス鋼の在庫調整は上半期で一巡する見込みのほか、第2四半期以降は自動車部品・産業機械部品の利益進捗も改善見通しとしています。年間配当金も前期比横ばいの230円を計画しています。

 半導体製造装置用の特殊ステンレス、航空機用のエンジンシャフト材、船舶用のエンジンバルブなど世界シェア首位製品も数多いもようです。特に、市場が回復している航空機関連の一角として関心が高まる局面も想定されるほか、年度後半からの半導体市況回復をにらむ場面でも注目される余地があるでしょう。

 第1四半期低進捗を受けて株価は調整、PBRは0.6倍台にあり、押し目買い妙味もあります。業界再編への思惑なども今後折に触れて高まる余地があります。