26日米利上げ、ソフトランディング期待高めたパウエル発言

 FRBは26日(日本時間27日午前3時)、0.25%の利上げを発表しました。事前に示唆していた通りだったので、サプライズはありませんでしたが、今回の利上げで米国の長短金利の逆ザヤ(10年金利とFF金利誘導水準の中央値)は、1.5%まで拡大しました。

米10年・2年金利とFF金利の日次推移:2021年1月4日~2023年7月28日

出所:QUICK・ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

 米国景気には、長短金利が逆転してから半年~1年くらい後にリセッション(景気後退期)入りするという経験則があります。ただし、それはあくまでも経験則で、そうならないこともあります。

米FF金利、長期金利、NYダウ月次推移:2021年1月~2023年7月(28日)

出所:QUICK、ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

 

 今回、米景気は減速してきているものの雇用は強いままです。来年にかけてAI(人工知能)や半導体への投資が盛り上がり、米景気が持ち直すとの期待もあります。長短金利は逆転しているものの、これまでの経験則は当てはまらず、米景気はソフトランディングするという楽観が広がっています。

 パウエル議長は利上げ後の記者会見で、「FRBスタッフはもはや景気後退を予想していない」と発言しました。この発言が、株式市場に安堵(あんど)を与えました。

 また、27日に米商務省が発表した4-6月の米GDP(国内総生産)成長率は、前期比年率で2.4%増でした。市場予想を上回る成長で、米景気に対する強気の見方を裏付けた形となりました。