3 NIPPON EXPRESSホールディングス(9147・東証プライム)

 日本通運が主軸で2022年1月にホールディングス体制に移行しました。総合物流大手で世界第7位の位置付けとなっています。

 日本全国を網羅する195社のグループ会社からなる国内ネットワーク、49カ国・地域、312都市739拠点(ともに2022年12月31日時点)に広がる海外ネットワークなど、世界最大規模のネットワークが強みとなります。事業別売上構成比では最大の航空事業が25%程度、ほかに海運事業、自動車事業、倉庫・保管庫事業など事業構成は多彩です。

 2023年12月期第1四半期営業利益は前年同期比10.7%減の243億円となっています。運賃単価の下落、旺盛な値動きであった前年同期からの反動による数量減少が要因です。東アジア、南アジア・オセアニアを中心とする海外事業の減収減益幅が大きくなっています。

 通期計画は前期比32.5%減の1,050億円の見通しで、期初予想を据え置いています。エレクトロニクスの需要調整の影響が大きく、航空貨物が伸び悩むとみられます。年間配当金は前期比100円減の300円の計画ですが、前期には150円の記念配当金を含んでいます。

 配当性向は30%以上を掲げていますが、2023年12月期までの5年間で総還元性向50%以上の方針としています。

 注目されるのは海外展開が他社と比較して進んでいることであり、世界景気回復に伴う国内製造業の輸出回復時には大きなメリットも期待できるでしょう。競争が激しい宅配便事業からの撤退や人員削減など収益力向上に向けた取り組みをいち早く進めていることも評価ポイントとなります。

4 SOMPOホールディングス(8630・東証プライム)

 国内三大保険会社の一角です。2010年4月に損保ジャパンと日本興亜損害保険が経営統合して発足しました。28カ国・地域に展開するなど、海外保険事業が最大の収益柱となっています。国内生保事業も順調に拡大し、2023年3月期で保有契約数は471万件に達しています。

 生命保険会社では第一生命と、自動車メーカーでは日産やスバルなどと親密な関係にあります。ワタミの介護を買収して介護関連事業にも進出しています。

 2023年3月期純利益は912億円で前期比59.5%減となっています。国内・海外で正味保険料収入が順調に拡大しましたが、自然災害や新型コロナ(みなし入院給付による支払増)などの一過性要因が約730億円発生したことが響きました。一方、2024年3月期は2,300億円で前期の約2.5倍と大幅増益の見通しとなっています。

 一過性要因の剥落に加えて、海外保険事業における保険引き受け利益や運用収益の増加、国内損保事業における収益構造改革効果などを見込んでいます。年間配当金は前期比40円増の300円を計画、10期連続での増配となります。 

 金利上昇局面では銀行株とともに保険株は買われやすい傾向にあるほか、連続増配を実施中であるため、NISAによる長期投資には合致する銘柄と捉えられます。

 また、介護事業では業界第2位の水準に位置しており、今後の高齢化社会を迎える中、収益基盤の安定性が強固だと意識されます。今般、政策株式削減に関する方針を策定しており、年間700億円水準の売却を計画しています。株主還元への原資になっていくことなども期待できるでしょう。

5 三井住友フィナンシャルグループ(8316・東証プライム)

 3大金融グループの一角で、傘下に三井住友銀行、SMBC日興証券、SMBC信託銀行などがあります。メガバンクの中では高水準のROE(自己資本利益率)など収益性の高さ、経営スピードの速さなどに定評があります。

 他社と比較して、カードや消費者金融などノンバンク事業の構成比が高いことも特徴になります。自社株買いは総還元性向50%台半ばの水準を維持する形で行っていく方針のようです。海外事業を強化中です。

 2023年3月期純利益は前期比14.0%増の8,058億円となりました。法人貸出の増加や決済ビジネスなどの好調、為替相場のプラス影響などで、粗利益が大きく増加しました。加えて、与信関係費用の減少なども押し上げ要因につながりました。年間配当金は前期比30円増の240円でした。

 2024年3月期は1.8%増の8,200億円の見通しとしています。顧客部門の収益拡大が継続するほか、証券子会社の黒字回復なども寄与しそうです。会社計画はやや保守的とも捉えられています。年間配当金は前期比10円増の250円を計画しています。

 銀行株にとっては、短期的に日銀の金融政策の変更が注目点になります。YCCの修正や撤廃などがアナウンスされれば、長期金利の上昇に直結するとみられ、貸出金利の上昇に伴う利ザヤの改善が想定されます。

 仮に、7月の日銀決定会合でYCC修正が見送られても、早晩政策変更は実施される可能性が高く、失望売りに押される余地は限定的と考えられるでしょう。さらにその後は、国内政策金利の引き上げも大きなポジティブ材料として控えているため、長期的な観点で銀行株投資には大きな妙味があると言えます。