単元未満株取引を活用、一般NISAでも買える高配当利回り銘柄(大東建託、芙蓉総合リース、NIPPON EXPRESSHD、SOMPO HD、三井住友FG)

 2024年からは新NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)制度がスタートし、制限が大幅に緩和されることになりますが、今年までは一般NISAにおける年間購入額は上限120万円となっています。このため、高株価銘柄はNISAでの購入が不可能になるものもあり、ほかの銘柄と組み合わせて買うバリエーションも大幅に制限されてしまいます。

 この観点で言うと、楽天証券で取り扱っており、NISAでも取引ができる「かぶミニ」(単元未満株取引)を利用する格好のタイミングとも言うことができるでしょう。通常100株単位の企業の株式を1株から売買できるため、株価水準による制約を考える必要性は薄まることになります。

 そこで今回は、株価水準が高い高配当利回り銘柄をスクリーニングしています。「かぶミニ」における投資対象銘柄と位置付けられます。

 なお、これら高株価銘柄はこれまでのNISAでは対応しにくかったため、新NISAになって新たにNISA投資対象となり得ることで、来年以降はNISAへの組み入れが増える可能性も高まると考えられます。

(表)株価の水準が高い高配当利回り銘柄

コード 銘柄名 配当利回り(%) 7月14日終値(円) 時価総額 (億円) PBR (倍) 株価騰落率 (%)
1878 大東建託 3.80 14,070.0 9,696 2.37 6.67
8424 芙蓉総合リース 3.56 10,960.0 3,319 0.90 21.78
9147 NIPPON EXPRESS 3.72 8,075.0 7,315 0.95 1.32
8630 SOMPOHD 4.69 6,392.0 22,224 1.15 21.71
8316 三井住友フィナンシャル 3.98 6,275.0 86,261 0.67 18.44
8154 加賀電子 3.57 6,170.0 1,770 1.25 23.15
5444 大和工業 4.91 6,107.0 3,969 0.88 14.36
(注)株価騰落率は3月31日終値比

銘柄選定の要件

  1. 予想配当利回りが3.5%以上(7月14日終値)
  2. 株価が6,000円以上
  3. 楽天証券の「かぶミニ」取引対象銘柄

厳選・高配当銘柄(5銘柄)

1 大東建託(1878・東証プライム)

 賃貸建物の設計・施工を行う建設事業、建設し賃貸建物の賃貸建物の管理・運営代行などを行う不動産事業を展開しています。賃貸住宅仲介件数は年間約29.9万件、賃貸建物管理戸数は122万戸(ともに2023年3月末時点)です。

 家賃ベース入居率は98%程度と、業界トップクラスの高水準となっています。また、住宅供給戸数、賃貸仲介件数、賃貸住宅管理戸数ともに市場シェアトップの位置付けです。貸家着工戸数のシェアは11%強の水準にあります。配当性向は50%に設定しています。

 2023年3月期営業利益は前期比0.4%増の1,000億円となりました。資材価格高騰に伴う完成工事利益率悪化などで建設事業は減益となりましたが、不動産仲介事業や海外ホテル事業などが下支えとなる形でした。年間配当金は前期比5円増の516円でした。

 一方、2024年3月期は3.0%増の1,030億円を予想しています。不動産事業の着実な拡大を見込むほか、建設事業も価格改定効果による増益転換を想定しています。配当性向50%に沿って、年間配当金は前期比19円増の535円を計画しています。

 配当利回りが3%以上の銘柄の中では唯一、株価が1万2,000円を超える水準にあり、一般的なNISAでは投資対象とならない銘柄です。配当性向が50%と高いことから業績変動リスクには注意が必要となり、月次動向が株価の変動につながるケースも多いです。

 6月は建設受注が大きく落ち込みましたが、これは値上げ前の駆け込み需要が前年に発生した影響であり、今後は改善が期待できるでしょう。また、2024年6月には創業50周年を迎えるため、来年にかけてはこれを記念した株主還元策なども期待できそうです。

2 芙蓉総合リース(8424・東証プライム)

 リース業界大手の一角でみずほ系です。2023年3月末の営業資産残高は2兆7,045億円で、うちリース資産残高は1兆6,882億円となっています。物件別リース契約実行高では、建物等、情報・事務用機器、輸送用機器、医療機器などのセグメントが上位となっています。

 エネルギー環境やモビリティなどの領域を成長ドライバーと位置付けています。再生エネルギー発電容量は、2023年3月の515メガワット(MW)から2027年3月期には1,000MWを目指しています。2027年3月期には配当性向30%以上を目指すとしています。

 2023年3月期経常利益は前期比13.2%増の597億円となりました。6期連続での過去最高益更新となっています。航空機や不動産の伸長でリース事業が着地に拡大し、エネルギー環境などのビジネスが寄与してファイナンス事業も伸長しました。年間配当金は前期の285円から343円に引き上げています。

 2024年3月期経常利益は前期比7.2%増の640億円を計画しています。営業資産残高の順調な拡大による売上高の増加を見込んでいるようです。年間配当金は前期比47円増配となる390円を計画しています。

 2004年12月に株式を上場し、2005年3月期に初配当を実施、その後2023年3月期まで18期連続での増配を行っています。

 連続増配記録の上位銘柄として位置付けられていますが、会社側では、2027年3月期に配当性向30%以上を目指すとしており、今後も当面は増配基調が継続される見通しです。連続増配記録の上位銘柄は、比較的配当利回り水準が低い状況にありますが、同社は相対的に利回り水準も高く、NISA投資では非常に有望な銘柄とも言えるでしょう。