自身のスキルを極めて1億円

Mさん(男性・60代後半・大学教授を退職)

 Mさんは、ある医療系専門分野では第一人者と称される、有名な大学教授でした。昼夜を問わず研究にのめり込み、産学共同研究にも熱心に取り組んでいました。教授としての年間給与は800万円ほどでしたが、大学以外の企業・団体で技術指導を行った際の謝礼など、月に数十万円になるほどの副収入もあったのです。

 研究に没頭し、派手な生活を好まず、質素に暮らし続けていたため、毎月の貯蓄額も多く、退職金3,000万円と合わせて、退職時の金融資産は1億円に到達しました。

 Mさんは世の中のために自身の専門分野を生かそうと、現在も企業などから依頼を受けて、技術指導を続けています。

1億円達成の理由

解説:西崎努氏

 Mさんが金融資産1億円を貯めることができた理由は、収支のバランスが良かったことが挙げられます。職業スキルを上げることで収入が増えていった一方、研究に没頭して質素な生活を続け、不要な支出がほとんどなかったのです。

 大学を退職後の現在の主な収入は企業からの指導料と年金、そして利息収入など。投資についてはそれほど詳しくないため、老後生活や介護費用を想定して、資産1億円の一部を預金で保有し、余裕資金の数千万円で債券を購入しています。これによって毎年200万~300万円の利息収入を得て、引き続きぜいたくはしない生活を送っています。

 改めてMさんが資産1億円を達成した理由をまとめると、「収入が増えても支出を増やさず、収支のバランスが良かった」こと、そして「自らの職業専門スキルを極め、それによって副収入を得ることができた」ことが挙げられます。