ジュニアNISAのメリット・デメリット

 主なメリット・デメリットは以下の通りです。

メリット【1】子どもが18歳になるまで非課税で投資できる

 2023年にジュニアNISAを使うメリットは、子ども(または孫)が18歳になるまで、上限80万円の非課税投資ができることです。対象年齢は、0歳から17歳です。0歳の子どもにジュニアNISA口座を開いて80万円投資すると、18歳になるまで18年間の長期にわたって非課税投資ができるメリットがあります。

メリット【2】2024年から引き出し可能

 ジュニアNISAはもともと、利用者が原則18歳になるまで引き出しができないというルールでしたが、2024年以降は18歳以下でも引き出しが可能になります。今年0歳の子どもでジュニアNISAをスタートすれば、18歳になるまで非課税投資を続けることもできるし、急にお金が必要になれば2024年以降、引き出すこともできます。

デメリット【1】途中で投資銘柄を入れ替えることができない

 もしジュニアNISAで保有している銘柄を全て売却してしまうと、それで非課税投資は終わりになります。18歳になるまで、長期にわたって非課税投資を続けるためには、最初に買った銘柄をずっと持ち続けなければなりません。値動きの激しい個別銘柄よりも、幅広い銘柄に分散投資して長く持ち続けられる投資信託やETF(上場投資信託)の方が良いかもしれません。

デメリット【2】損益通算できない

 もう一つのデメリットとして知っておくべきは、売却損を出した時に「損益通算」ができないことです。課税口座(特定口座)で10万円の売却益と10万円の売却損を出せば、売却益と売却損が相殺され、売買損益は出ていないので、税金はかかりません。これを損益通算と言います。

 ところが、課税口座で10万円の売却益を出し、ジュニアNISAで10万円の売却損を出した時は、損益通算ができません。10万円の売却益に対し、分離課税を選択していると、2万315円(20.315%)の税金(所得税および住民税)がかかります。NISA口座で10万円の売却損を出しても、払った税金は戻ってきません。

 損益通算できないのは、ジュニアNISAに限った話ではありません。一般NISAも含め、非課税投資口座全てに共通するデメリットです。非課税投資口座で投資すると、利益に課税されないメリットがある代わり、投資の損失は損益通算できないというデメリットがあります。

 以上が2023年のジュニアNISA概要です。

子ども、孫への贈与に活用も

 読者の方から、「ジュニアNISAにかけた元金、利益は全て贈与税なしで、子どもに渡せるのでしょうか?」と質問をいただきました。

 以下の通り、回答いたします。

 ジュニアNISA口座を開設できるのは、0歳から17歳の未成年者です。ただし、その両親または祖父母が資金の出し手・運用管理者になることができるという点で、とても使い勝手の良い制度です。

 両親から子どもへ、または祖父母から孫への贈与とすることもできます。年間の投資額は80万円で、贈与税の基礎控除(年間110万円)の範囲内ですから、同じ年に他の贈与がなければ、投資元金に贈与税はかかりません。元本が贈与されていれば、元本から生まれる投資収益にも贈与税はかかりません。

 ただし、ジュニアNISA口座に資金を入れただけで贈与が自動的に成立するわけではありません。一般の贈与と同じで、贈与の事実が証明できないと、まれに贈与が否認されることもあります。贈与の証跡を残しておいた方が良いこともあります。詳しくは、税の専門家に相談してください。

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