超富裕層のセカンドライフ2:生活はいたって質素でも、資産200億円超を運用

 お二人目は世界を股に掛ける国際分散投資家のM様です。

 実はM様については、その個人投資家のレベルを超えた資産運用について過去のコラムで紹介したことがあります。元々、家業の販売業を継いだM様は、役員就任時にはすでに上場企業となっており、40歳ほどで東証1部上場企業の社長となりました。

 その後、インターネットやメディアを活用して事業はさらに拡大、今でも多くの方の記憶にある有名なテレビコマーシャルもそのころ、流れていました。そして、M様が45歳くらいの頃に別の上場企業に会社を売却。M様創業家は経営から身を引くことになり、そこからざっと200億円相当以上の資産を運用管理する投資家に転身されました。

 そんなM様の日常はどのようなものなのでしょうか。

 実はこれほどの資産をお持ちでも、M様の生活はいたって質素です。

 大阪の中心地から離れた郊外に、昔からの日本家屋の一軒家を構えておられますが、移動は基本、電車です。身に着けられるものは品よく手入れがよくされていますが、特にハイブランドに身を固めるといったこともありません。近所のラーメン屋やお好み焼き屋さんで私もお昼をごちそうになったこともあります。

 お酒も飲まず、ゴルフもされないM様ですが、資産運用になると、さすが元上場企業の経営者です。その行動力や決断力で、世界の名だたる金融機関と取引を持ち、有力な人脈を築き、ビジネスとしての資産運用をとてもシビアに行っています。

 まず、M様のビジネスの拠点はシンガポールです。世界的な分散投資を行うためにその資産の大半を米ドルで保有し、世界の金融機関からの情報が集まるシンガポールを中心に活動します。

 その主な取引先はスイスや米国のプライベートバンクです。日本とは違い、彼らは基本的に一任勘定契約です。投資哲学や運用方針もそれぞれチームやファンドマネジャーごとに差がありますので、M氏は常に複数の契約に分散させ、3カ月ごとのパフォーマンスをみて契約を見直していきます。

 そのために3カ月ごとに欧米を回り、マネジャーとの打ち合わせ旅行を行います。投資先こそ、私たちになじみのある個別銘柄の株式やETF(上場投資信託)、外国籍の投資信託ですが、お客さまと金融機関の付き合い方が日本とはまったく違い、彼らはセールス担当者という、よきビジネスパートナーといった感じでした。

 また、不動産投資では、英国を中心とした欧州でポートフォリオを組んでおられました。地震が少なく、古い建物を大切にずっと使う欧州の不動産は長期投資に適しているそうです。海外不動産といえば私たちにはハワイやシンガポール、ニュージーランドなどになじみがありますが、M様はまた違う視点で投資用不動産を見ておられました。

 一方で、M様は幅広い人脈を生かして飲食店などのビジネスにも進出していました。こちらはやはり成長著しいアジアで行っていました。お店にも現地視察で行きますからM様は本当に多忙です。日本にいる間はもっぱら世界から送られてくる運用データなどの分析に充てられていました。

 このように紹介しますと仕事一色に見えますが、M様は非常に歴史や芸術にも造詣が深い文化人でもありました。おっしゃるには、海外の金融機関の方もさまざまな歴史や芸術といった分野に詳しく、話し好きでもあるので、世界を回るたびに投資以外でも新鮮で興味深い話を聞けて、自然に知識が増えていくそうです。

 莫大(ばくだい)なファミリーの資産を守っていかねばならない重責を日々負いながらも、旺盛な知識欲と行動力で資産運用を行うM様は、今後も堅実な国際分散投資を続けていかれるのでしょう。