トヨタ自動車の燃料電池車「MIRAI」にも期待

 トヨタは、次世代自動車の候補となる技術開発を、全方位で行っています。EVだけでなく、水素を充填して走る燃料電池車の開発にも、注力しています。既に燃料電池車「MIRAI(ミライ)」を発売済みで、燃料電池車の開発では世界でもっとも先行しています。EVでも燃料電池車でも有力なトップランナーとなる可能性があります。

 未来のエコカーとして、今、最も有望と考えられているのが、EVです。水素で走る燃料電池車もその候補に入っていますが、現時点ではEVほど有望視されていません。まだ製造コストが高すぎることや水素流通インフラが整っていないことが理由です。

 ただし、EVが、次世代エコカーとして最初から本命視されていたわけではありません。初期のEVには問題が多く、2014年くらいまでは、ガソリン車の代替は無理と思われていました。燃料充填にかかる時間や、一度の充電で走れる航続距離に問題がありました。

 ところが、その後、電池の性能が大幅に改善したことで、ガソリン車代替として有力とみなされるようになりました。

次世代エコカーの性能比較・ガソリン車と比較

出所:〇△×の評価は筆者判断

 それでも、現在の液化リチウムイオン電池を使ったEVには充電に時間がかかり過ぎるという問題が残ります。急速充電を使ってもフル充電まで15~30分かかります。日中忙しい時にそんな時間をかけていられません。今のままだと、EVは原則夜間に自宅で充電しないと使えない可能性があります。

 航続距離も問題です。満タンで500キロ以上走るガソリン車より大幅に短かったので使い物にならないと思われた時期もありました。近年は性能が大幅に向上し、200~300キロ走る車種もたくさん作られるようになりました。

 航続距離500キロを超えるEVも開発されています。ただし、航続距離の長いEVはまだ価格が高額過ぎます。現時点では、富裕層しか購入できない高額車です。

 こうしたEVの欠点を一気に解決する可能性があるのが、全固体電池を使ったEVの実用化です。実用化に向けてのハードルはまだ高いものの、成功すれば、10分以下の充電で約1,200キロメートルを走行するEVが実現する見込みです。

 現在使われているリチウムイオン電池では、どうしても超えられなかった壁を、全固体電池ならば超えられる可能性があります。