中国で新型コロナ第2波到来。株式市場は「ゼロコロナ策」を警戒
「中国はまたゼロコロナ政策に戻るんですかね?」
この1週間、中国の経済動向に注目する機関投資家や実業家の方々から、最も頻繁に受けた質問です。
事の発端は、5月22日、中国における感染症対策の権威で、新型コロナ対策政府専門家チームのトップを務めた鍾南山(ジョン・ナンシャン)氏の発言です。鐘氏はコロナ禍で一躍「時の人」になり、中国のコロナ対策への貢献度の高さから「共和国勲章」を受章している人物です。
鐘氏は、広東省広州市で行われたバイオテクノロジー会議に登壇し、現在新型コロナの第2波が押し寄せており、1週間当たりの感染者が5月末に4,000万人、6月末には6,500万人に達するとの見通しを述べたのです。
この発言が日本メディアによって報道されると、多くの市場関係者の間で、中国政府が新型コロナの感染拡大を徹底的に封じ込めようと実施した「ゼロコロナ」策のことが脳裏をよぎったことでしょう。特に、2022年3月下旬から5月末にかけて、国際経済都市・上海市全域で取られたロックダウン(都市封鎖)によって、世界経済やマーケットは大きな打撃を受けました。それが冒頭の質問につながっていったと思われます。
そんな投資家心理を如実に反映するかの如く、5月24日、アジア株は全面安、特にインバウンド関連株は急落しました。中国発の新型コロナ第2波の到来と動向は、日本を含めた株式市場にも深い次元で影響していくものと思われます。