2~3年後には信じられないようなチャンスが到来する!?
5月10日のブルームバーグの報道『ドラッケンミラー氏、米景気後退の瀬戸際-「ハードランディング」へ』によると、G・ソロスの右腕だったスタンレー・ドラッケンミラーは以下のような相場観を述べたという。
著名投資家スタン・ドラッケンミラー氏は9日、米経済がリセッション(景気後退)の瀬戸際にあり、「ハードランディング」を予想していると述べた。
デュケーヌ・ファミリーオフィスの創設者であるドラッケンミラー氏(69)はこの日、ソーン・インベストメント・コンファレンスで、リセッション入りは以前の自身の予想より早い今四半期中になると予測。小売売上高の減少や米国の地銀を襲った混乱などさまざまな要因を踏まえてリセッションに陥る時期が早まると予想したことを明らかにした。
資産家ジョージ・ソロス氏の資金を10年余り運用したドラッケンミラー氏は、経済予測には難しい時期だと指摘した。同氏の株式ポートフォリオはネットロングでもショートでもなく(遊び相場)、株式ヘッジファンドには今のところ慎重になるよう助言しているという。
『ドラッケンミラー氏、米景気後退の瀬戸際-「ハードランディング」へ』 5月10日 ブルームバーグ
そして、ドラッケンミラーは「2、3年後には信じられないようなチャンスが到来する」と述べ、「業界内には多くのばらつきがあり、チャンスが訪れるまで資金を温存しておくことが大切だ」と語った。
現在のS&P500のバブルとシンメトリー(対称性)
ドラッケンミラーの言っていることに、筆者は違和感を持たない。ただ、「利下げ」までの過程が長くなる可能性(バブルの延命)も考慮しなければならないかもしれない。
銀行危機が終息し、FRB(米連邦準備制度理事会)がいったん停止して方向転換すると思われるため、今後数週間から数カ月の間に株価が上昇する可能性がある。しかし、これは不況の前の静けさかもしれない。
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S&P500とFF金利の推移
市場参加者は、市場が急落すればすぐにFRBが金利をゼロに戻すと信じているので、その確信に基づいてギャンブルを増やしている。現在抱えている負債は、将来的に低金利に転化できるため、リスクや信用拡大に制限はない。
自社株買いや競合他社の買収など、最もリスクの高い信用拡大が、FRBは状況が揺らげばすぐに金利をゼロに戻してくれるという確信に基づいて行われている。
この自信は、FRBの政策が参加者を極端なリスクと負債に追いやり、投機的バブルの膨張と崩壊を保証し、新たなFRB政策の極端さを要求するというフィードバックループをつくり上げることになった。言い換えれば、FRBは、FRBの「救済」への期待に基づき、最も非常識なリスクが「安全な賭け」に変わるという破滅のループをつくり出した。
2000年、2008年、2023年、それはいつも同じだ。人々は愚かなリスクを冒し、失敗する。その後、お金が印刷(QE5)される。
われわれは今ここにいる
「私はこれまで見たこともない、これまで研究したこともないような、最大かつおそらく最も広範な資産バブルを直視している」
(スタンレー・ドラッケンミラー)