日本株は33年ぶりの高値、そして「まだまだいける」!?

 5月18日のゼロヘッジの記事『日本株は33年ぶりの高値、そして 「まだまだいける」』では、世界中がインフレ懸念で依然として金融引き締めを進めている中、「日本の金融緩和政策がいかに強力であるか」に焦点を当てている。

日経平均CFD(日足)

(マーケットナビゲーターの売買シグナル 赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

 AI株の影響を除けば、米国市場は今年2%以上下落している中で、足元の日本株の上昇は際立っている。日本株の上昇の理由についてゼロヘッジは、以下のように述べている。

 少し前までは、日銀が金融政策を正常化するという見当違いの憶測で日本株が叩かれた(ネタバレ注意:GDPの100%以上の国債を保有する日銀が正常化できるわけがなく、ハイパーインフレが常に終着点だった)。最近の植田日銀総裁の「日本は先進国の中で最も緩い国に留まる」との発言により、インフレ率が上昇し続けても再び円安になったことで大きな利益を得ている。

ドル/円(日足)

(マーケットナビゲーターの売買シグナル 赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

 ウォーレン・バフェット氏が日本株を再び支持したことも、海外からの投資が市場に戻ってくることを期待させる。案の定、東京証券取引所のデータによると、海外トレーダーは4月に正味158億ドル分の日本株を購入し、2017年10月以降で最多となった。

 日銀の緩和政策だけではない。自社株買いもある。Bloombergによると、東京証券取引所(金融庁)が簿価を下回って取引されている企業に対して資本改善計画の概要を求めた後、企業が自社株買いを増やし、リターンを重視する動きが再燃しており、センチメントを高めているとのことだ。

 第一生命ホールディングスは月曜日、1,200億円(8億8,200万ドル)もの自社株買いの計画を発表し、株価は急上昇した。三菱商事は5月9日、最大22億ドルの買い戻しを行う見込みであると発表した。

出所:5月18日 ゼロヘッジ 『日本株は33年ぶりの高値、そして 「まだまだいける」』

 日本の「PBR(株価純資産倍率)1倍以下撲滅官製相場」(国家管理相場)から利益を得ようと、海外投資家が日本株に殺到しているようだ。海外勢主導のいびつな上昇相場だが、記事は「日本の人口減少や産業の成熟化など、過去数十年にわたる経済の根本的な変化は、資産価格が高騰する時代が終わったことを示唆している」と楽観に疑問も投げかけている。

2~3年後には信じられないようなチャンスが到来する!?

 5月10日のブルームバーグの報道『ドラッケンミラー氏、米景気後退の瀬戸際-「ハードランディング」へ』によると、G・ソロスの右腕だったスタンレー・ドラッケンミラーは以下のような相場観を述べたという。

 著名投資家スタン・ドラッケンミラー氏は9日、米経済がリセッション(景気後退)の瀬戸際にあり、「ハードランディング」を予想していると述べた。

 デュケーヌ・ファミリーオフィスの創設者であるドラッケンミラー氏(69)はこの日、ソーン・インベストメント・コンファレンスで、リセッション入りは以前の自身の予想より早い今四半期中になると予測。小売売上高の減少や米国の地銀を襲った混乱などさまざまな要因を踏まえてリセッションに陥る時期が早まると予想したことを明らかにした。

 資産家ジョージ・ソロス氏の資金を10年余り運用したドラッケンミラー氏は、経済予測には難しい時期だと指摘した。同氏の株式ポートフォリオはネットロングでもショートでもなく(遊び相場)、株式ヘッジファンドには今のところ慎重になるよう助言しているという。

『ドラッケンミラー氏、米景気後退の瀬戸際-「ハードランディング」へ』 5月10日 ブルームバーグ

 そして、ドラッケンミラーは「2、3年後には信じられないようなチャンスが到来する」と述べ、「業界内には多くのばらつきがあり、チャンスが訪れるまで資金を温存しておくことが大切だ」と語った。

現在のS&P500のバブルとシンメトリー(対称性)

出所:ゼロヘッジ

 ドラッケンミラーの言っていることに、筆者は違和感を持たない。ただ、「利下げ」までの過程が長くなる可能性(バブルの延命)も考慮しなければならないかもしれない。

 銀行危機が終息し、FRB(米連邦準備制度理事会)がいったん停止して方向転換すると思われるため、今後数週間から数カ月の間に株価が上昇する可能性がある。しかし、これは不況の前の静けさかもしれない。

ナスダック100CFD(日足)

(マーケットナビゲーターの売買シグナル 赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:楽天MT4・石原順インディケーター

S&P500とFF金利の推移

(利下げは株式にとって強気ではない!? それはシステムで何かが壊れたことを意味する。危機のトリガーは「利下げ」が引く)
出所:Game of Trades

 市場参加者は、市場が急落すればすぐにFRBが金利をゼロに戻すと信じているので、その確信に基づいてギャンブルを増やしている。現在抱えている負債は、将来的に低金利に転化できるため、リスクや信用拡大に制限はない。

 自社株買いや競合他社の買収など、最もリスクの高い信用拡大が、FRBは状況が揺らげばすぐに金利をゼロに戻してくれるという確信に基づいて行われている。

 この自信は、FRBの政策が参加者を極端なリスクと負債に追いやり、投機的バブルの膨張と崩壊を保証し、新たなFRB政策の極端さを要求するというフィードバックループをつくり上げることになった。言い換えれば、FRBは、FRBの「救済」への期待に基づき、最も非常識なリスクが「安全な賭け」に変わるという破滅のループをつくり出した。

 2000年、2008年、2023年、それはいつも同じだ。人々は愚かなリスクを冒し、失敗する。その後、お金が印刷(QE5)される。

われわれは今ここにいる

出所:石原順Twitter

「私はこれまで見たこともない、これまで研究したこともないような、最大かつおそらく最も広範な資産バブルを直視している」

(スタンレー・ドラッケンミラー)

5月17日のラジオNIKKEI『楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー』

 5月17日のラジオNIKKEI『楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー』は、荒地潤さん(楽天証券FXアナリスト)をゲストにお招きして、「不気味なほど静かな金融危機の進行」・「植田日銀の展望」・「米利下げまでは乱高下相場」・「ドラッケンミラー:2〜3年後に絶好の買い場がやってくる!」というテーマで話をしてみた。ぜひ、ご覧ください。

出所:YouTube
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 ラジオNIKKEIの番組ホームページから出演者の資料がダウンロードできるので、投資の参考にしていただきたい。

5月17日: 楽天証券PRESENTS 先取りマーケットレビュー

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