バフェット投資の根幹には割安株重視

 私は、過去30年バフェット研究をしてきました。ただ研究するだけでなく、実際にその手法を使って日本株を売買してきました。

 私は過去25年間、日本株のファンドマネージャーをしてきましたが、特に2000~2005年はバフェット流「バリュー(割安株)投資」が日本株で大当たりでした。そのとき、運用していた投資信託では、ベンチマーク(競争相手)である東証株価指数を大きく上回るパフォーマンスを上げることができました。

 バフェット氏の投資原則はいろいろありますが、今回は特に重要な三つに絞ってお話しします。【1】バリュー株好き、【2】長期投資、【3】参入障壁の高いビジネスを重視、の3点です。

 バフェット氏は、割高な成長株が嫌いなことで有名です。GAFAMといわれる米国の巨大テック株は、アップル以外、買いませんでした。1970年代に有名になった米国のニフティ50と言われた成長株も避けてきました。

 一方、バフェット氏は、みんなに嫌われて株価が下がって安くなってきた株から、財務や収益力から評価できるバリュー株を見つけて長期投資して価値が見直されるのを待つスタイルです。

 若いころ、こんなことを言っています。「企業の本源的価値が分かっていれば、それを生かして有利にトレードできる。株価が、本源的価値と比較して、ばかばかしいほど安い水準まで売られたときに買うことで、利益が得られる」。

 実際、2008年のリーマン・ショックで暴落した金融株を買って稼いだり、近年はESG投資で嫌われた「エネルギー株」を買って稼いだりしています。コカ・コーラやアメリカン・エキスプレスのような安定成長株も好きですが、根っこにバリュー重視があります。

 バフェット氏は、他社が簡単に参入できない、安定的にキャッシュを生むビジネスを重視します。いくら短期的にもうかっていても、過当競争になりやすいビジネスは嫌います。

 従って、鉄道株のように、地味に見えても、インフラを支配してしっかり稼ぐビジネスは好みます。