5月3日:FRBが0.25%の利上げを発表

 FRBは3日、0.25%の利上げを発表しました。政策金利であるFF金利の誘導水準を4.75~5.00%から、5.00~5.25%に引き上げました。これで、長期金利との逆ザヤは一段と拡大し、先行き米景気を悪化させる不安が高まりました。

米長短金利(10年・2年・FF金利)推移:2021年1月4日~2023年5月5日

出所:QUICK・ブルームバーグより楽天証券経済研究所が作成

 パウエルFRB議長は記者会見で、米銀行システムは健全であると銀行不安を否定する一方、インフレとの戦いは続くと表明しています。FRBがタカ派姿勢を変えていないことが、株式市場にとって不安材料となっています。ただし、今後の利上げについては、経済環境によっては停止する可能性も示しました。

米債務上限問題が再燃

 米国の二大政党である共和党と民主党の政争の材料に、しばしば債務上限問題【注】が表れます。何度も繰り返してきたことですが、再び、債務上限問題が米国債の不安を高めています。

 5月9日までに債務上限引き上げで決着しないと、米国債のデフォルト不安が生じます。実際にデフォルトすることは考えられませんが、目先、金融市場にとって波乱材料となる可能性があります。

【注】債務上限問題
 債務上限とは、米連邦政府が国債発行などで借金できる枠のことです。政府債務が法定上限に達すると、議会の承認を得て上限を引き上げない限り、新規の国債発行ができなくなります。民主党が政権を握っている間、共和党が支配する議会が、政策の違いを理由に上限引き上げを拒否すると、一時的に米国債のデフォルト懸念が持ち上がります。
 実際にデフォルトすることは考えられませんが、この問題が持ち上がると、金融市場に不安が広がり、株価は不安定な動きになります。