日本は銀行危機と無縁でいられるか!?

 米国の銀行危機はまだ終わっていないが、日本はこのような銀行危機と無縁なのか?

 今週のマーケットエッセンシャル4月26日号「金融不安に日本は無縁か 金利上昇で含み益枯渇も」(主筆・前田昌孝)によると、日本の銀行は既に外債の含み損が膨らみ、純資産を兆円単位で減らした金融機関もあるという。日本の金利が2%になったら大混乱は必至なのである。

国債の保有構造

 政府の国債発行残高は2022年12月末時点で1,051兆円。このうち半分強を日本銀行が保有し、半分弱を海外勢や個人を含む幅広い投資家が保有している。消費者物価指数が2%上昇すれば、遅かれ早かれ長期金利も2%程度になりそうだが、日銀の内田真一副総裁は3月29日の衆院財務金融委員会で、この場合、保有国債の含み損が50兆円に達すると説明している。ということは日銀以外の幅広い投資家が抱える含み損も合計で約50兆円になる見込みだ。これだけの損失を生命保険会社、市中銀行、ゆうちょ銀行(グラフでは中小企業金融機関などに含まれる)、公的年金、企業年金、海外勢、個人投資家などが吸収しなければならないのである。
出所:マーケットエッセンシャル4月26日号「金融不安に日本は無縁か 金利上昇で含み益枯渇も」(主筆・前田昌孝)

主な金融機関の純資産の推移

 大手金融機関の中には、すでに外国債券の金利上昇で、純資産を兆円単位で減らしたところもある。例えばゆうちょ銀行は2021年9月末に11兆4,800億円あった純資産が2022年12月末には9兆2,400億円まで減った。農林中央金庫は2021年12月末から1年間で純資産を2兆9,000億円近く減らした。これに加えて国債でも多額の含み損を抱え、その一定割合を純資産から差し引かなければならなくなるとすれば、メガバンクなど本業の預貸業務にそれなりの収益力が備わっている金融機関は別として、多くの金融機関はますます「細腕」になってしまうだろう。
出所:マーケットエッセンシャル4月26日号「金融不安に日本は無縁か 金利上昇で含み益枯渇も」(主筆・前田昌孝)

 私たちが現在みている市場は、もはや「バブル」という領域を離れて「国家管理相場」となっている。金融市場への過剰な介入が、いずれ市場を滅ぼすことになりそうだ。