穀物価格は急騰後、高止まり
鶏に与えるエサに多用されている「トウモロコシ」と「大豆」の「国際価格」の推移に注目します。シカゴ先物市場で取引されている「シカゴトウモロコシ」「シカゴ大豆」がそれにあたります。
これらの推移を長期視点で振り返ると、おおむね、山と谷を描くタイミングが同じであることがわかります(短期視点の山の高さ、谷の深さ(山谷の程度)は異なる場合がある)。両銘柄ともに、「人口増加、新興国台頭、環境対策」などをきっかけに、2008年ごろを境に、大きく一段、水準を切り上げました(1回目のパラダイムシフト(均衡点の劇的な変化)発生)。
そして2020年ごろから、再び価格が急騰しはじめ、足元、高止まりしています。新型コロナがパンデミック化したことを受けて、主要な中央銀行が金融緩和を行い、投機マネーが流入したとみられること、コロナ禍からの経済回復が進んで需要増加期待が膨らんだことなどが、急騰の背景とみられます。
高止まりの背景は、2022年2月に勃発したウクライナ危機をきっかけに目立っている、非西側の主要な農産物供給国からの供給減少懸念です。ウクライナ危機が沈静化するまで、こうした国からの供給が減少する懸念が続く可能性があります。
同危機が沈静化するまでは「エサ」の原材料である「トウモロコシ」と「大豆」価格の高止まりが続き、それにより生産コストの高止まりが続き、国内の鶏卵の卸売価格、引いては小売価格も、高止まりが続く可能性があります。
鳥インフルエンザが沈静化したとしても、それは二段構造の一段目がなくなったに過ぎず、時間軸が長い二段目の「国際価格高」が継続していれば、鶏卵価格の高止まりは続く可能性があります(鶏卵価格はなかなか優等生に戻れない)。