今日の為替ウォーキング

今日の一言

相場の世界で能力が果たす役割は小さい。どれだけ知識を持っているか、どれだけ情報を知っているかで勝負が決まることが多いのだ

The Winner Takes It All

 雇用統計は数ある経済指標のなかでも重要度が最も高いランクにあるというのに、最近は市場予想の外れっぷりが凄まじい。

 例えば米国では1月に250万人の仕事が失われたが、雇用統計では50万人の雇用増と報じられた。雇用統計だけではない。小売業は15%以上も落ち込んだのに、小売売上高は3%増加となっていた。実態経済と経済データの違いは、季節調整が原因だ。

 人々の活動は1年の季節単位で規則性を持つことが多い。12月はクリスマスシーズンで雇用や売り上げが大きく伸びて、1月はその反動で経済活動は低調になると予想する。エコノミストは、このような過去の履歴を使用して予想を立ててきた。しかし、新型コロナ後は人々の行動パターンが劇的に変化したために、これまでのパターンが役に立たなくなってしまったのだ。

 しかし、予想を大幅に超える雇用増があったからといって雇用の総数が変化しているわけではないのだ。季節調整は1年を通してみるとネットゼロになる。つまり、今日の雇用統計の大きなプラスの変化は、今年後半までには同規模の大きなマイナスで埋め合わされる公算が大きい。

 季節調整の混乱によって、中央銀行は上半期に必要以上に利上げを行うことになるが、それは下半期に大幅利下げという形で調整されることになる。

 FRBに限らず、世界の主要中央銀行がこれまでになく経済データに依存している時代に経済予測の精度低下しているこということは、金融政策が誤った方向に導かれる可能性高いということだ。

今週の注目経済指標

出所:楽天証券作成