川はほぼ逆流せず。「上流」への意識は重要

「コモディティ価格」には、三つの意味があります。(1)社会的事象に影響を与える「原因」(原油などのエネルギー価格が上昇し、各国の景気を冷やすなど)、(2)社会的事象から影響を受けた「結果」(経済が活発化して需要が増加し、エネルギーや金属、食料などの価格が上昇するなど)、そして(3)投資対象としての「機会」(関連する投資対象へのアクセス)です。

 以下は、コモディティ価格が「原因」であるときのイメージです。コモディティ価格が「川上」にあり、「川中」に関係性を変化させる要素、そして「川下」に社会的事象があります。

 コモディティ価格の変動が、各国の景気動向を動かしたり、各国の中央銀行の政策に影響を与えたり、生産国と消費国の政治的な関係に変化をもたらしたりします。

 まさに今、わたしたちが直面しているリスクの一つ「インフレ」がこれに当てはまります。景気悪化が叫ばれる中でインフレが目立っているのは、コモディティ価格が上昇・高止まりしているためです(コストプッシュ型のインフレ。対義語はデマンドプル)。

図:コモディティ価格が「原因」であるときのイメージ

出所:筆者作成

「わたしたちを悩ませているインフレの元凶は、コモディティ価格が高いことだ」「コモディティ価格が下がれば、インフレは終わる」。「インフレ」めぐる思考は、非常にシンプルです。