3月初旬の日経平均短期上昇は、海外投資家の先物買いが要因

 日経平均株価(225種)は1月下旬以降、2万7,500円前後の動きを続けていましたが、3月3日(金)から急に上昇し始め、3月9日(木)には一時、2万8,700円台まで上昇しました。その後、3月13日(月)には2万7,800円台まで一時下落する展開となりました。

 現在の局面は、約3年半でサイクルする景気循環から考えると、2月23日掲載「日経平均、本格上昇は早くて年末からか!在庫循環から読み解く」で述べたとおり、「日経平均は良くて横ばい、企業業績の悪化が深まれば下落も考えられる時期」と私はみています。

 ただ、「日経平均は良くて横ばい、企業業績の悪化が深まれば下落も考えられる時期」という中においても、短期的には上がったり下がったりを繰り返しています。日経平均が短期的に上昇した主な要因は、海外投資家の日経225先物買いという典型的なものであったとみています。今回、その点についてお伝えしていきたいと思います。

 まずは、海外投資家の先物売買動向からみていきましょう。

(表1)日経平均株価と海外投資家の先物売買動向

出所:日経平均株価は日本経済新聞社公表データ、海外投資家の先物売買動向は日本取引所グループ公表データよりマネーブレインが作成

 表1の日経平均の期間騰落幅、海外投資家の売買動向の期間累計を見ると、海外投資家が先物を買えば日経平均は上がり、売れば日経平均は下がっています。それが1カ月半から2カ月程度で買いに偏ったり、売りに偏ったり、繰り返していることが分かります。

 そして、直近の動きとしては、海外投資家は、1月20日の週から3月3日の週までに累計で3兆2,604億円の先物買いをしていて、かなりの買いポジションが積みあがっている状態にあることが推測できます。

 海外投資家の先物売買動向は、この記事を作成している3月13日(月)時点では、3日(金)の週までのデータしか公表されていません。6日(月)から9日(木)にかけて日経平均は大きく上げており、それも海外投資家の先物買いが要因なのかどうかについて、外国証券の日経225先物建玉残高一覧を確認してみましょう。

積みあがった後の逆回転、下落局面はすでに始まっている?

(表2)日経平均株価と外国証券の日経225先物建玉残高

出所:日経平均株価は日本経済新聞社公表データ、外国証券の日経225先物建玉残高は日本取引所グループ公表データよりマネーブレインが作成

 厳密にいうと、外国証券=海外投資家ではありませんが、表1と表2を見比べたときに、ほぼ同じ傾向となっています。そのため、おおむね外国証券=海外投資家と捉えてよいと考えています。

 表2をみると、3月10日(金)における外国証券の日経225先物建玉残高は、3万7,705枚と大幅に増えています。このことから、海外投資家はこの期間も日経平均先物買いを大きく積み増したと推測できます。

 表1、表2から、10日(金)時点における先物買いの金額、建玉残高は、それなりに積みあがっている状況にあると推測され、いずれ、これが逆回転し、日経平均株価の下落につながってくるものと考えています。

 10日(金)と13日(月)の2日間、日経平均は大きく下落していますが、積みあがった後の逆回転が始まったようにも思います。始まったとなると、これまでの動きからは、1カ月半から2カ月くらいは下落局面が続くことになります。

 改めてになりますが、約3年半でサイクルが一周する景気循環から判断すると、私は「日経平均は良くて横ばい、企業業績の悪化が深まれば下落も考えられる時期」にあるとみています。しかし、短期(数カ月レベル)で売買をするとしたら、買うタイミングは、海外投資家の先物動向から、1カ月半から2カ月後になるかと考えています。

 投資はあくまでも自己責任で。