王道の小売・サービス関連株で業績回復が鮮明な優待株は?

 優待株の王道といえるのは、個人投資家がお客さまでもある小売、サービス関連銘柄です。

 優待株の中核だった小売、サービス企業の業績は、2020年以降のコロナ禍で大打撃を受けました。

 しかし、外出・行動制限も次第に緩和され、最近は外食、百貨店、アミューズメント施設、旅行、ホテル、アパレル関連の優待株も脱コロナの業績回復が鮮明です。

 そこで、楽天証券の銘柄検索ツール「スーパースクリーナー」を使って、ここ最近、目覚ましい業績回復を遂げている優待株を発掘しました。

「スーパースクリーナー」には「財務」「コンセンサス情報」「銘柄属性」「テクニカル」といった詳細検索項目があり、細かい条件を設定できるため、有望株の発掘にとても便利です。

 今回は、購入金額を「30万円以下」、検索する業種を「小売業」「サービス業」に限定。

 業績回復が鮮明な銘柄ということで、
・「経常利益変化率 前年度比50%以上」
・「売上高変化率 前年度比20%以上」

という2項目を条件にしました。

 業績回復後に株価が急上昇していたら高値つかみのリスクも生じるので、
・「過去52週安値からの上昇率 5~50%」
という条件も追加して、まったく上昇していない株や上がり過ぎた株を排除。

 これから購入しても、業績回復にともなう株価上昇に乗り遅れることがなさそうな銘柄を絞り込みました。

「スーパースクリーナー」の検索にヒットしたのは、計61銘柄。

 経常利益の前年度比の変化率が高いものから順に銘柄を並べたのが図になります。

※検索は2023年2月27日午前9時台に実施。検索結果は株価の状況によって変わります。

 表示された銘柄が3月優待株かどうかを、楽天証券の「株主優待検索」でチェック。

 優待内容のお得感や株価と業績の詳細な状況を吟味して、有望といえそうな株をピックアップしました。

クレーンゲーム絶好調のラウンドワン(4680)が業績回復度No.1!

 業績回復が鮮明で、優待内容も人気が高い銘柄1位は、複合エンターテインメント施設運営のラウンドワン(4680)です。

 同社はコロナ禍の影響で2021年3月期に198億円超の巨額経常赤字に陥りました。

 しかし、翌2022年3月期には好調なクレーンゲームが業績回復のけん引役となり、売上高は58%増、53.6億円の経常利益と黒字転換。

 2023年3月期は好景気に沸く米国事業が絶好調で、売上高は46%増、経常利益は前期比3.2倍の171億円超を見込んでいます。

 同社の優待は、3月・9月末に100株(投資金額4万9,700円※)保有で、国内施設で利用できる割引券1,000円分、健康ボウリング教室・レッスン優待券1枚。

※投資金額は2023年2月24日時点の株価の終値から計算、以下同

 今後はゼロコロナ政策が解除された中国事業の成長が業績の躍進に寄与しそうです。

 株価は昨年10月に700円台の高値をつけたあと、現在500円前後で調整しており、押し目買いの好機といえるかもしれません。

配当利回り1.34%(前期実績) 1.61%(今期予想)

30万円以内で業績底打ち鮮明な王道の人気優待株はこの銘柄!

2.ルネサンス(2378)

 2位はスポーツクラブ運営のルネサンス(2378)です。

 スポーツクラブ業界は新型コロナウイルスの感染が拡大し始めた2020年4月から2カ月間、営業休止に追い込まれたため、同社の2021年3月期決算は売上高が33%近く落ち込み、49億円の経常赤字に陥りました。

 しかし、翌2022年3月期は売上高が23%近く回復し、経常利益も6.3億円超の黒字転換。

 今2023年3月期は売上高が10%増、経常利益も前期比10%増の70億円を予想するなど、目覚ましい業績回復を遂げています。

 けん引役は、スマホで子供の泳ぐ姿を確認できる児童向けのスイミングスクールや、段階的に指導を行うスクール制フィットネスプログラムの導入でした。

 同社の株を3月・9月末に100株(投資金額9万300円)保有すると、1枚につき1回、施設利用が無料になる優待券2枚が贈呈されます。

 施設内のプロショップで商品を20%割引で購入できるなど、さまざまな特典も付与されます。

 株価は52週間の安値からまだ9%しか上昇しておらず戻りは鈍いものの、コロナ禍による運動不足解消の風潮は今後も続くはず。

 安定した業績回復と株価の底打ち上昇に期待がかかります。

配当利回り0.66%(前期実績) 0.89%(今期予想)

3.ヒビノ(2469)

 3位は、コンサート向けなど業務用音響・映像機器の販売・運営を行うヒビノ(2469)

 コンサートやイベントがコロナ禍で相次いで自粛されたため、2021年3月期は売上高25%減、26.4億円の経常赤字に転落しました。

 しかし、今2023年3月期はコンサート需要の回復が顕著。

 2022年3月期の60%増収に続いて1.4%増収を見込んでいます。

 今期は東京オリンピック関連の特需がないため、経常利益は減益予想ですが、ライブ配信機器会社を買収するなどM&A(買収や合併)にも意欲的です。

 同社の株を3月末に100株(投資金額13万8,800円)保有すると、オリジナル株主優待カタログの商品と交換できる株主優待2,000ポイントが贈呈されます。

 カタログからは同社傘下のミュージック・レストラン「ケネディハウス銀座」「リアルディーバス」の入場券や地域の名産品・雑貨、クオカードが選べます。

配当利回り2.16%(前期実績) 2.16%(今期予想)

4.WDI(3068)

 4位は「カプリチョーザ」「トニーローマ」「ハードロックカフェ」などダイニングレストランを運営するWDI(3068)です。

 コロナ禍で2021年3月期には14.8億円近い経常赤字となり、翌2022年3月期も赤字が続きました。

 しかし、今2023年3月期はランチ需要の復活や高級ステーキ店「ウルフギャング・ステーキハウス」が好調で前期比25%の増収、4.5億円の経常黒字転換を見込んでいます。

 同社の株を3月末に100株(投資金額21万7,700円)保有していると、店舗で使える優待券3,000円分に加え、直営店舗での食事代金(サービス料・消費税は除く)が20%割引される「WDI VIP CARD」が贈呈されます。

 2023年2月には米国の関連会社の従業員雇用継続税額控除で約5億円の還付金 を受け取ることを発表し、株価も急上昇中です。

配当利回り0.37%(前期実績) 0.37%(今期予想)

5.関西フードマーケット(9919)

 5位は「関西スーパー」などのスーパーを経営する関西フードマーケット(9919)。

 食品を扱っていることもあり、コロナ禍に見舞われた2021年3月期は巣ごもり需要で大幅な増収増益を達成。

 翌2022年3月期に「イズミヤ」「阪急オアシス」を買収したことで、売上・利益が飛躍的に増加し、今2023年3月期も買収効果で 、増収増益が続く会社予想になっています。

 合併効果を除くと売上横ばい、利益減少が続くものの、合併による規模拡大で今後は収益性の向上に期待が持てます。

 3月・9月末に100株(投資金額13万5,700円)を保有すると、店舗で利用できる優待券1,000円分が贈呈。

 同社のスーパーを利用できない人は、米2kgを選ぶこともできます。

配当利回り1.18%(前期実績) 1.33%(今期予想)