植田和男・次期日銀総裁候補はハト派?

 先週の日経平均は1週間では59円の下落でしたが、24日(金)は前営業日(22日)比で約349円高でした。この日におこなわれた、植田和男次期日本銀行総裁候補の衆院での所信表明が好感されました。植田氏は、日銀が行っている金融緩和策は適切で、当面、金融緩和を続けると発言し、株式市場に安心感を与えました。

 日本株の動きに最近、大きな影響を与えているのが、日銀の金融政策変更の思惑です。昨年12月20日の日銀金融政策決定会合で、長期(10年)金利の上限を0.25%から0.5%に引き上げたところから、日銀ショックが続いています。異次元金融緩和を続けるのは限界で、日銀はさらなる金利上昇を容認せざるを得なくなるという思惑が広がり、為替市場で円高が進み、円高を嫌気して日経平均が売られました。

 日銀の異次元緩和を主導してきた黒田東彦日銀総裁が、4月8日に任期満了を迎えることから、次期総裁のもとで金融緩和の修正が行われるという思惑が広がっています。

 政府が当初考えていた次期総裁候補は雨宮正佳日銀副総裁でした。雨宮氏は、黒田総裁とともに異次元緩和を主導してきた人物なので、雨宮氏に次期総裁就任の打診をしているとの報道が出た時、株式市場に「雨宮氏ならば緩和は継続される」との思惑が広がり、日経平均は上昇しました。

 ところが、雨宮氏が次期総裁就任を辞退し、植田氏が候補としてあがると、株式市場はいったん「緩和が修正されるリスク」を考えて、下がりました。ところが、先週の所信表明で、植田氏が緩和継続を表明すると、株式市場はそれを好感しました。