グローバルファウンドリーズ

1.2022年12月期4Qは13.8%増収、営業利益3.3倍

 グローバルファウンドリーズの2022年12月期4Q(2022年10-12月期、以下前4Q)は、売上高21.01億ドル(前年比13.8%増)、営業利益2.88億ドル(同3.3倍)となりました。

 前4Qの分野別売上高を見ると、スマート・モバイル・デバイス向け(主にスマートフォン向けなど)は8.23億ドル(同7.3%減)、前3Q比でも13.7%減となりました。中価格帯、低価格帯のスマートフォン販売の減少が響きました。高価格帯でも在庫が増加した模様です。この分野は、前1Qをピークとして前四半期比減収が続いています。

 一方で、通信設備・データセンター向けは3.86億ドル(同27.0%増)、前3Q比4.9%増となりました。アメリカの景気後退によってデータセンターの新設は減っているものの、設備の入れ替えは続いており、これによってネットワークインフラと、データセンター向けが増加しました。

 家庭用&産業用IoTは4.16億ドル(同63.8%増)、前3Q比4.5%増と大きく伸びました。長期契約顧客向け単価が上昇したこと、デジタル決済用スマートカード、ワイヤレス接続向け、航空宇宙・防衛向けアナログ半導体、ミクスドシグナル半導体の増加が寄与しました。

 自動車向けは1.15億ドル(同23.7%増)、前3Q比21.1%増と順調に伸びました。制御系、各種センサ、車両インフラ関連が伸びました。

 このように売上高は前年比、前3Q比ともに伸びましたが、全社営業利益は前年比では増加したものの、前3Q比では減益となりました。これは、前4Qにスマート・モバイル・デバイスやその他の民生品向け半導体市場で在庫調整の動きがあったため、コスト削減のために9,400万ドルのリストラ費用を計上したためです。

 ウェハ出荷枚数(300ミリ換算)は、在庫調整を反映して前3Q63.7万枚から前4Q58.0万枚に減少しましたが、各分野で単価上昇が実現したため、ウェハ当たり売上高が上昇しました。この結果、前4Qの全社売上高は前3Q比増収となりました。

 また前4Qには、ニューヨーク州イーストフィッシュキルの工場をオン・セミコンダクターに売却したため、4.03億ドルの売却益がその他の収益で発生しました。そのため、当期純利益の水準が高くなっています。

表5 グローバルファウンドリーズの業績

株価(NASDAQ)    63.11米ドル(2023年2月20日)
時価総額    34,458百万ドル(2023年2月20日)
発行済株数    554.0百万株(完全希薄化後)
発行済株数    546.0百万株(完全希薄化前)
単位:百万ドル、ドル、%、倍
出所:会社資料より楽天証券作成。
注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。
注2:EPSは完全希薄化後発行済み株式数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前発行済み株式数で計算。
注3:会社予想は予想レンジのレンジ平均値。

表6 グローバルファウンドリーズの分野別売上高(四半期)

単位:100万ドル
出所:会社資料より楽天証券作成

表7 グローバルファウンドリーズの分野別売上高(年度)

単位:100万ドル
出所:会社資料より楽天証券作成

グラフ2 グローバルファウンドリーズのウェハ出荷枚数(300ミリ換算)

単位:1,000枚、出所:会社資料より楽天証券作成

グラフ3 グローバルファウンドリーズ:ウェハ当たり売上高

単位:ドル/枚(300mm換算)、出所:会社資料より楽天証券計算

2.2023年12月期は1~2Qに業績が減速、3Qから回復、再成長に向かうと予想。GMと長期契約を締結。

 2023年12月期1Qの会社側ガイダンスは、売上高18.10~18.50億ドル、営業利益2.33~2.82億ドル、当期純利益2.02~2.57億ドルです。予想レンジの平均値は、売上高18.30億ドル(前年比5.7%減)、営業利益2.58億ドル(同14.7%増)、当期純利益2.30億ドル(同28.5%増)となり、前4Q比では減収減益になる見込みです。

 分野別に見ると、今1~2Qは、スマート・モバイル・デバイスの中の低価格帯から高価格帯向けまでが在庫整理のために前4Q比で減収になると予想されます。通信設備・データセンター向けも、今1~2Qはデータセンター向けの前4Q比減収が予想されます。

 一方で、家庭用&産業用IoTは引き続き成長が続くと予想されます。自動車向けも同様で、自動車生産が回復し、かつ、ガソリン車よりも多くの半導体を使う電動車(EV、PHEV)の生産台数が増加していることにより、自動車向けは2023年12月期に10億ドル(同2.7倍)に達すると会社側は予想しています。また、今年2月にゼネラルモーターズ(GM)との間で長期契約(長期供給契約、LTA)を締結しましたが、これは今後の自動車向けビジネスに寄与することになります。

 また、長期契約顧客は2022年12月期末で40社、約275億ドルになっており、このうち確約分、前払い分は約50億ドルあります。このため、短期的な業績変動はあっても中長期では業績拡大が期待できます。今1~2Qは在庫調整による業績減速が予想されますが、今3Qから回復が期待できると思われます。

 設備投資については、今1~2Qの業績減速に対応して、2023年12月期設備投資を22.5億ドルと計画しています(2022年12月期は30.59億ドル)。

 このような状況から、楽天証券では2023年12月期を売上高92億ドル(同13.5%増)、営業利益14億ドル(同20.0%増)、2024年12月期を売上高112億ドル(同21.7%増)、営業利益21億ドル(同50.0%増)と予想します。

グラフ4 グローバルファウンドリーズの設備投資額

単位:100万ドル、出所:会社資料より楽天証券作成

3.今後6~12カ月間の目標株価を80ドルとする

 グローバルファウンドリーズの今後6~12カ月間の目標株価を80ドルとします。中長期の視点から、2024年12月期の楽天証券予想EPS 3.61ドルに成長性を考慮した想定PER20~25倍を当てはめました。

 中長期で投資妙味を感じます。

本レポートに掲載した銘柄:アプライド・マテリアルズ(AMAT、NASDAQ)グローバルファウンドリーズ(GFS、NASDAQ)