米国高配当株3:スパイア(SR)

 傘下のSpire Marketing、Spire STL Pipeline、Spire Storageを通じて、天然ガスの販売および関連サービスをアラバマ州、ミシシッピ州、ミズーリ州の170万戸の家庭や企業に提供しています。

 上場している天然ガス会社の中で最大規模を誇る企業で、4年連続ニューズウイーク誌の 「America's Most Responsible Companies」に選ばれており、ESGにも非常に力を入れている企業です。

 時価総額は37億6,000万ドルで、日本円で約4,900億円となっています(1USD=131円換算)。 

事業の注目ポイント

 事業の中心は「天然ガス公益事業(Gas Utility)」で、続いて「天然ガスマーケティング事業(Gas Marketing)」「ミッドストリーム事業(Midstream)となります。

「天然ガス公益事業」では傘下のSpire Missouri、Spire Alabama、Spire Gulf Inc.などを通じて天然ガスに関するサービスを提供し、「天然ガスマーケティング事業」では傘下のSpire Marketingを通じて天然ガスのマーケティングサービスを提供しています。

競合他社

 競合他社として、規制された天然ガスの配給、パイプラインおよび貯蔵事業を行うアトモス・エナジー(ATO)、主に天然ガスの生産、収集、輸送、貯蔵、流通を行う総合エネルギー会社であるナショナル・フューエル・ガス(NFG)、規制対象の公益事業による天然ガスの流通、クリーンエネルギープロジェクトなどエネルギーサービスを提供する持株会社であるニュージャージー・リソーシーズ(NJR)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初近辺の水準で推移しており、配当は20年連続で増配をしています。

 業績が堅調に推移しており、それに伴って変動はあるものの株価は一定の範囲内で推移しています。今後10年間の設備投資目標は 70 億ドルであり、これによりスパイアの成長を安定的に押し上げることができると会社側も予想しており、今後も好調な業績が予想され、それに伴い、株価も安定的に推移することが期待されます。

業績動向

 2023年2月1日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。

「天然ガスマーケティング事業」の業績が非常に好調なことから、市場予想を大きく上回る結果となりました。天候や気温によって天然ガスの使用量の増減があり、それに伴う業績への影響はありますが、積極的な設備投資と、それによるスパイアの純経済的利益(Net economic earnings)が上昇していくという自社の計画により、次回決算の市場予想も前年同期を上回ると予想されています。

 次回は2023年5月3日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。

注意点

 ガス価格上昇により顧客負担が増加することをスパイアも懸念しており、ガス利用を控える動きが出るような事態になった際には、業績に大きな影響が出る可能性があり注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:2.88ドル
配当利回り:3.95%
株価:72.75ドル(約9,500円)

 この銘柄、権利落ち日は3月9日です(権利実施は4月4日の予定)。

 配当利回りは2月13日時点で3.95%、株価は72.75ドルでおよそ9,500円から購入できます(1USD=131円計算)。

 2020年からの最高値は87.60ドル、最安値は51.52ドルとなっています(終値ベース)。

米国高配当株4:ソラリス・オイルフィールド・インフラストラクチャー(SOI)

 石油・天然ガス井戸の掘削において、積み卸し・貯蔵・輸送の効率化を促進するモバイル機器を提供しています。

 プロパントおよび液体貯蔵を含むブレンディングを、一つの全電動式自動制御システムで行うAUTOBLENDや、坑口での高速な砂充填(じゅうてん)システムでトン当たりのコスト削減と二酸化炭素排出量の低減を行うTOP FILL SAND LOADING SYSTEMなどの、さまざまなサービスを提供しており、ソラリスの特許取得済み機器とシステムは、米国内の石油・天然ガスを有する全域に配備されています。

 時価総額は4億7,000万ドルで、日本円で約620億円となっています(1USD=131円換算)。

事業の注目ポイント

 事業は「掘削サービス事業(Wellsite services)」の単一事業となります。

「TOP FILL SAND LOADING SYSTEM」や「FLUID MANAGEMENT SYSTEM」、「PROPPANT MANAGEMENT SYSTEM」などの個々のサービスの売上は、2022年第3四半期のハイライトでは記載がありませんが、トータルでは前年同期と比較し、業績を拡大させています。

競合他社

 競合他社として、石油、天然ガス、工業および再生可能エネルギー産業へのサービス提供を行うフォーラム・エナジー・テクノロジーズ(FET)、地理的に多様なサプライヤーで、さまざまな業界の顧客に製品、レンタル、サービスを提供するニューパーク・リソーシーズ(NR)、石油、ガス関連の製品、サービス会社であるテトラ・テクノロジーズ(TTI)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初の水準を上回って推移しており、配当は2019年から横ばいで推移しています。

 自社株買いによる株主還元を行うとともに、自社のプロパント管理システム(proppant management system)がフル稼働し、全四半期と比較して12.0%増加するなど、業績が好調であることから株価は堅調に推移しています。

 石油消費と需要の先行指標であるベーカー・ヒューズ社の米石油採掘装置(リグ)稼働数の減少が直近発表されましたが、特に株価に影響はなく横ばいで推移しています。

 企業の設備投資状況によっても変わりますが、ソラリス・オイルフィールド・インフラストラクチャーのシステムを導入することで事業の効率化が図れることからも、今後も堅調な業績と、それに伴う安定的な株価の推移が期待されます。

業績動向

 2022年10月31日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を下回りました。

 前四半期と比較すると大幅に業績が拡大したものの、市場予想の高い期待には届かず、株価は決算発表後に大きく下落しました。

 しかし、新規および既存の顧客において、ソラリス・オイルフィールド・インフラストラクチャーのシステム導入は継続して続いています。そういったことも背景の一つに、リグ稼働数の減少のニュースがありながらも、株価は横ばいで推移しています。次の決算も、前年同期比の水準を大きく上回る市場予想となっています。

 次回2023年2月22日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。

注意点

 企業のサプライチェーンの逼迫(ひっぱく)、インフレの高止まりなどの影響から設備投資への余裕がなくなっていったときに、ソラリス・オイルフィールド・インフラストラクチャーのシステム導入率が減少し、業績へ悪影響を及ぼす可能性がある点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:0.42ドル
配当利回り:3.96%
株価:10.60ドル(約1,400円)

 この銘柄、権利落ち日は3月上旬の予定(権利実施は3月中旬の予定)です。

 配当利回りは2月13日時点で3.96%、株価は10.60ドルでおよそ1,400円から購入できます(1USD=131円計算)。

 2020年からの最高値は14.79ドル、最安値は4.55ドルとなっています(終値ベース)。