米国の株式市場は世界最大の時価総額を持ち、建国当初から株価は右肩上がりの成長を続けています。その理由の一つとして、常に企業の新陳代謝が起こり、時代ごとに革新的な企業を生み出しています。

 米国株式の代表的な株式指数は、鉄道・公共事業以外の工業株30銘柄で構成される「NYダウ平均株価」、NASDAQ(ナスダック)に上場している全銘柄を対象とした「ナスダック総合株価指数」、NYSE(ニューヨーク証券取引所)とNASDAQに上場している大型株500銘柄を対象とした「S&P500種指数」があります。

 これらに採用されている企業は長期間にわたり利益を出し続け、株価も上昇し、配当を増配し続けている銘柄も珍しくはありません。

 そこで2023年3月権利落ちの米国株高配当5銘柄について解説します。

▼参照データ
•    株価…楽天証券のHPを採用
•    時価総額…楽天証券のHPを採用
•    配当情報、決算情報…Investing.comのHPを参照
※上記3点は2023年2月13日(日本時間)の数値を採用
•    為替:1ドル =131円で計算
※上記日付のデータで数値を抽出・算出しております。記事公開後の市況変動で数値が異なる場合がございますので、ご了承いただきますようお願いいたします。

 その前に、日本と米国の高配当銘柄への投資で、特に重要な三つの違いについて、お伝えします。

(1)米国株の配当金は、通常米国で10%、日本で20.315%の2段階、約30%の課税がされます。しかし確定申告で還付を受けることにより、日本株と同じように20.315%の税率と同じになります。

 ただし、NISA(ニーサ:少額投資非課税制度)口座で購入した場合は、日本での利益・配当金はもともと非課税のため、還付を受けることはできません。この場合は米国で10%の課税のみとなります。

※米国に上場していても米国籍企業以外の場合、配当金にかかる源泉税率は日本との租税条約によって異なり10%ではありません。

(2)米国株は日本株と異なり、権利落ち日が月末に集中していません。そのため、銘柄ごとに権利落ち日を確認する必要がありますので注意が必要です。

(3)米国株は日本円で買う円貨決済と、米ドルで買う外貨決済を選べます。日本円から外貨に替える為替手数料も積もれば大きな金額になるので、米国株を買い続けるなら売却時にも外貨決済で米ドルにしなければ無駄に手数料を支払うことになります。

 そして、2024年から改正された新NISAが始まる予定です。つみたて投資枠と成長投資枠と分かれていますが、米国株も投資できる成長投資枠では年間240万円を運用期間無期限かつ最大1,200万円まで投資が可能となり、制度期間も恒久化されました。

 これまで1年間の枠を気にしたり、ロールオーバーで手間暇がかかりましたが、それもなくなり、非常に使いやすい制度になります。とはいえ、米国株でNISAを必ず枠全部まで利用しなければいけないわけではありません。

 運用期間が無期限になったことにより、自分のペースで投資をすることができますので、無理のない範囲で長期投資の手段として有効活用していきましょう。

【2024年からの新NISA制度について、詳しい説明はこちら

 一般NISAを選択している方は2023年が現行NISAで新規投資ができる最後の年度になります。今後は一般NISAで長期保有を目的としても、期限の5年目以降はNISA枠へのロールオーバー(移管)ができなくなりますので、長くても5年以内には売却することを考えておく必要があります。

 つまり2023年度のNISA枠を利用した場合は、最長2027年までは非課税での保有が可能です。

 そのため、長期的な目線で成長を期待する銘柄よりも、現在も業績が安定しており高い配当が期待できるような高配当銘柄は現行NISA枠での利用におすすめです(注:前述(1)に記載したとおり、米国での10%課税は残ります)。

 ただし、高配当といっても業績が落ち込んでいて株価が下落しそうな銘柄を選んでいては意味がありません。高すぎる配当の裏には業績の低迷による株価の下落が予想されます。5年という期間は中期的な目線での投資となりますので、その意識を持って銘柄選定をするようにしましょう。

米国高配当株1:パブリック・サービス・エンタープライズ・グループ(PEG)

 米国東部ニュージャージー州を拠点に子会社を通じて電気・ガス送配電事業を展開しています。

 送電、配電、クリーンエネルギーへの継続的な設備投資を行っており、米国でトップ10に入るカーボンフリーエネルギーの生産者でもあります。

 また、MSCIがパブリック・サービス・エンタープライズ・グループのESG格付けをAAからAAAに引き上げており、持続可能な経営が行われていることが客観的にも評価されています。

 時価総額は297億ドルで、日本円で約3兆9,000億円となっています(1USD=131円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は「パブリック・サービス・エレクトリック・アンド・ガス・カンパニー(PSE&G)」で、続いて「PSEGパワー(PSEG Power LLC)」となります。

「パブリック・サービス・エレクトリック・アンド・ガス・カンパニー(PSE&G)」では、送電事業、電力および天然ガスの配給事業を営んでいます。

 また、「PSEGパワー(PSEG Power LLC)」では、商業用原子力発電資産の運営をベースにそこからのクリーンエネルギーの販売・供給をおこなっています。

競合他社

 競合他社として、顧客志向で成長志向の公益事業会社であるブラック・ヒルズ(BKH)、主にミシガン州で事業を展開するエネルギー会社であるCMSエナジー(CMS)、ニューハンプシャー州、マサチューセッツ州、メイン州のサービス地域全体に電力とガスを配電する公益事業持株会社であるユニティル(UTL)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は昨年10月の決算発表以降右肩上がりで推移しており、配当は10年連続で増配をしています。

 パブリック・サービス・エンタープライズ・グループは事業再編を行っており、石炭火力発電から撤退し、発電は原子力に特化するなど選択と集中をすすめています。

 また、決算とは別で米国の利上げ減速期待の影響もあり、株価は昨年秋より上昇しています。

 次回、3月の配当でも増配が期待されており、安定的に中長期で保有できる銘柄ではないでしょうか。

業績動向

 2022年10月31日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。しかし、前年同期と比較して売上は上昇しているものの、1株利益は下がっています。

 これは、石炭火力発電から撤退したことによる利益率の低下や原子力発電の電力価格低下によるもので、次の決算ではこれらを織り込んだ数字が予想されています。

 パブリック・サービス・エンタープライズ・グループはカーボンフリーエネルギーに注力しており、連邦としてその需要が高まればさらなる業績拡大が期待されます。

 次回2023年2月21日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。

注意点

 会社側も連邦および州の環境法および規制、ならびにその施行状況の変化によっては業績に大きな影響を及ぼす可能性があると指摘しています。

株価動向、配当利回り紹介

配当:2.16ドル
配当利回り:3.56%
株価:60.65ドル(約8,000円)

 この銘柄、権利落ち日は3月上旬予定(権利実施は3月下旬)です。

 配当利回りは2月13日時点で3.56%、株価は60.65ドルでおよそ8,000円から購入できます(1USD=131円計算)。

 2020年からの最高値は74.73ドル、最安値は36.86ドルとなっています(終値ベース)。

米国高配当株2:ビクトリーキャピタル・ホールディングス(VCTR)

 運用資産総額1,614億ドル(2023年1月31日時点)を有する多角的なグローバル資産運用会社です。

 アクティブおよびパッシブ運用の投資信託、ETF(上場投資信託)、変額保険商品、環境保護商品などさまざまな投資商品を提供しています。ビクトリーキャピタル・ホールディングスの提供するETFは「CIZ」、「VSDA」、「UEVM」、「UBND」などのティッカーコードで取引されています。

 時価総額は20億7,000万ドルで、日本円で約2,700億円となっています(1USD=131円換算)。

事業の注目ポイント

 事業は「投資管理事業(Investment management)」の単一事業となります。

 その中で売り上げの中心は「投資管理手数料(Investment management fees)」で、続いて「ファンド管理および委託手数料(Fund administration and distribution fees)」となります。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

「投資管理手数料」は顧客資産の運用による報酬で、主に運用資産の総額によって変動します。また「ファンド管理および委託手数料」は主にオープンエンド型ファンドの管理業務にかかる資産に基づく手数料となっています。

競合他社

 競合他社として、子会社を通じて、米国と世界中の機関投資家およびサブアドバイザリーチャネルで、多様な投資家ベースにサービスを提供するブライトスフィア・インベストメント・グループ(BSIG)、グローバルな民間市場投資ソリューションを提供するハミルトン・レーン(HLNE)、多様な取引所取引商品(ETPs)とそのモデルやソリューションを提供するグローバルな金融クリエーターであるウィズダムツリー(WT)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初から上昇して推移しており、配当は昨年増配しています。

 昨年末時点で、3年、5年、10年の各期間において、ビクトリーキャピタルHDの運用資産額がベンチマークを上回る割合は、それぞれ 84%、79%、79%となり、マーケット環境が悪い中でも好調なパフォーマンスでした。

 そういったことから、総運用資産額の減少は同業他社と比較して少なく済んでおり、自社株買いを積極的に進めていることも相まって昨年下落した株価のほとんどを既に回復しています。

業績動向

 2023年2月9日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。

 マーケット環境が悪かったこともあり、前年同期と比較すると業績は悪化していますが、それでも昨年9月末から昨年12月末にかけて、総運用資産額は3.9%増加しています。

 今後の同社の運用手腕や外部要因としてFRB(米連邦準備制度理事会)の政策にもよりますが、過去の実績ではビクトリーキャピタルHDの中長期運用はベンチマークを約8割程度上回っており、優れたパフォーマンスによる資金流入およびそれに伴う業績の回復が期待されます。

 次回は2023年5月16日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。

注意点

 ビクトリーキャピタルHDが株主還元を進めた結果、昨年から配当金を引き上げ利回りが3%台に、今年は4%台になりました。

 しかし、それ以前は利回りが3%を切っており、現在の配当金の実績は日が浅いので、市場環境が悪化した際に配当金の変動がある可能性には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:1.28ドル
配当利回り:4.25%
株価:30.05ドル(約4,000円)

 この銘柄、権利落ち日は3月9日(権利実施は3月27日)です。

 配当利回りは2月13日時点で4.25%、株価は30.05ドルでおよそ4,000円から購入できます(1USD=131円計算)。

 2020年3月からの最高値は42.37ドル、最安値は12.93ドルとなっています(終値ベース)。

米国高配当株3:スパイア(SR)

 傘下のSpire Marketing、Spire STL Pipeline、Spire Storageを通じて、天然ガスの販売および関連サービスをアラバマ州、ミシシッピ州、ミズーリ州の170万戸の家庭や企業に提供しています。

 上場している天然ガス会社の中で最大規模を誇る企業で、4年連続ニューズウイーク誌の 「America's Most Responsible Companies」に選ばれており、ESGにも非常に力を入れている企業です。

 時価総額は37億6,000万ドルで、日本円で約4,900億円となっています(1USD=131円換算)。 

事業の注目ポイント

 事業の中心は「天然ガス公益事業(Gas Utility)」で、続いて「天然ガスマーケティング事業(Gas Marketing)」「ミッドストリーム事業(Midstream)となります。

「天然ガス公益事業」では傘下のSpire Missouri、Spire Alabama、Spire Gulf Inc.などを通じて天然ガスに関するサービスを提供し、「天然ガスマーケティング事業」では傘下のSpire Marketingを通じて天然ガスのマーケティングサービスを提供しています。

競合他社

 競合他社として、規制された天然ガスの配給、パイプラインおよび貯蔵事業を行うアトモス・エナジー(ATO)、主に天然ガスの生産、収集、輸送、貯蔵、流通を行う総合エネルギー会社であるナショナル・フューエル・ガス(NFG)、規制対象の公益事業による天然ガスの流通、クリーンエネルギープロジェクトなどエネルギーサービスを提供する持株会社であるニュージャージー・リソーシーズ(NJR)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初近辺の水準で推移しており、配当は20年連続で増配をしています。

 業績が堅調に推移しており、それに伴って変動はあるものの株価は一定の範囲内で推移しています。今後10年間の設備投資目標は 70 億ドルであり、これによりスパイアの成長を安定的に押し上げることができると会社側も予想しており、今後も好調な業績が予想され、それに伴い、株価も安定的に推移することが期待されます。

業績動向

 2023年2月1日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。

「天然ガスマーケティング事業」の業績が非常に好調なことから、市場予想を大きく上回る結果となりました。天候や気温によって天然ガスの使用量の増減があり、それに伴う業績への影響はありますが、積極的な設備投資と、それによるスパイアの純経済的利益(Net economic earnings)が上昇していくという自社の計画により、次回決算の市場予想も前年同期を上回ると予想されています。

 次回は2023年5月3日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。

注意点

 ガス価格上昇により顧客負担が増加することをスパイアも懸念しており、ガス利用を控える動きが出るような事態になった際には、業績に大きな影響が出る可能性があり注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:2.88ドル
配当利回り:3.95%
株価:72.75ドル(約9,500円)

 この銘柄、権利落ち日は3月9日です(権利実施は4月4日の予定)。

 配当利回りは2月13日時点で3.95%、株価は72.75ドルでおよそ9,500円から購入できます(1USD=131円計算)。

 2020年からの最高値は87.60ドル、最安値は51.52ドルとなっています(終値ベース)。

米国高配当株4:ソラリス・オイルフィールド・インフラストラクチャー(SOI)

 石油・天然ガス井戸の掘削において、積み卸し・貯蔵・輸送の効率化を促進するモバイル機器を提供しています。

 プロパントおよび液体貯蔵を含むブレンディングを、一つの全電動式自動制御システムで行うAUTOBLENDや、坑口での高速な砂充填(じゅうてん)システムでトン当たりのコスト削減と二酸化炭素排出量の低減を行うTOP FILL SAND LOADING SYSTEMなどの、さまざまなサービスを提供しており、ソラリスの特許取得済み機器とシステムは、米国内の石油・天然ガスを有する全域に配備されています。

 時価総額は4億7,000万ドルで、日本円で約620億円となっています(1USD=131円換算)。

事業の注目ポイント

 事業は「掘削サービス事業(Wellsite services)」の単一事業となります。

「TOP FILL SAND LOADING SYSTEM」や「FLUID MANAGEMENT SYSTEM」、「PROPPANT MANAGEMENT SYSTEM」などの個々のサービスの売上は、2022年第3四半期のハイライトでは記載がありませんが、トータルでは前年同期と比較し、業績を拡大させています。

競合他社

 競合他社として、石油、天然ガス、工業および再生可能エネルギー産業へのサービス提供を行うフォーラム・エナジー・テクノロジーズ(FET)、地理的に多様なサプライヤーで、さまざまな業界の顧客に製品、レンタル、サービスを提供するニューパーク・リソーシーズ(NR)、石油、ガス関連の製品、サービス会社であるテトラ・テクノロジーズ(TTI)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初の水準を上回って推移しており、配当は2019年から横ばいで推移しています。

 自社株買いによる株主還元を行うとともに、自社のプロパント管理システム(proppant management system)がフル稼働し、全四半期と比較して12.0%増加するなど、業績が好調であることから株価は堅調に推移しています。

 石油消費と需要の先行指標であるベーカー・ヒューズ社の米石油採掘装置(リグ)稼働数の減少が直近発表されましたが、特に株価に影響はなく横ばいで推移しています。

 企業の設備投資状況によっても変わりますが、ソラリス・オイルフィールド・インフラストラクチャーのシステムを導入することで事業の効率化が図れることからも、今後も堅調な業績と、それに伴う安定的な株価の推移が期待されます。

業績動向

 2022年10月31日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を下回りました。

 前四半期と比較すると大幅に業績が拡大したものの、市場予想の高い期待には届かず、株価は決算発表後に大きく下落しました。

 しかし、新規および既存の顧客において、ソラリス・オイルフィールド・インフラストラクチャーのシステム導入は継続して続いています。そういったことも背景の一つに、リグ稼働数の減少のニュースがありながらも、株価は横ばいで推移しています。次の決算も、前年同期比の水準を大きく上回る市場予想となっています。

 次回2023年2月22日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。

注意点

 企業のサプライチェーンの逼迫(ひっぱく)、インフレの高止まりなどの影響から設備投資への余裕がなくなっていったときに、ソラリス・オイルフィールド・インフラストラクチャーのシステム導入率が減少し、業績へ悪影響を及ぼす可能性がある点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:0.42ドル
配当利回り:3.96%
株価:10.60ドル(約1,400円)

 この銘柄、権利落ち日は3月上旬の予定(権利実施は3月中旬の予定)です。

 配当利回りは2月13日時点で3.96%、株価は10.60ドルでおよそ1,400円から購入できます(1USD=131円計算)。

 2020年からの最高値は14.79ドル、最安値は4.55ドルとなっています(終値ベース)。

米国高配当株5:コジェント・コミュニケーションズ・ホールディングス(CCOI)

 世界最大級のインターネット・サービス・プロバイダーで、9万6,320を超える企業およびネット中心の顧客に対して、高品質のインターネット、イーサネット、コロケーション・サービスを提供しています。

 全光IPネットワークにより、51カ国、219以上の市場にサービスを提供しています。

 時価総額は31億8,000万ドルで、日本円で約4,100億円となっています(1USD=131円換算)。

事業の注目ポイント

 コジェント・コミュニケーションズ・ホールディングスは単一事業で構成されています。

 売上高はサービスの提供地域によって区分されており、中心は「北米事業(North America)」で、続いて「欧州事業(Europe)」、「アジア太平洋事業(Asia Pacific)」、「南米事業(South America)」、「アフリカ事業(Africa)」となります。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

 また、コジェント・コミュニケーションズHDの展開するオンネットインターネットサービスは、自社ネットワークに物理的に接続された施設へのサービスで、100Mbps の高速インターネットアクセスおよびプライベートネットワークサービスで構成されています。

 オフネットサービスでは、主に法人顧客向けに他の通信事業者の回線を使用して、ラストマイル部分を提供しています。

競合他社

 競合他社として、大企業顧客、中小企業(SMB)、卸売顧客などの顧客にサービスを提供する米国の通信プロバイダーであるフロンティア・コミュニケーションズ・ペアレント(FYBR)、ブロードバンドインターネット、ビデオ、固定電話、およびモバイル通信サービスを欧州の住宅顧客や企業に提供するリバティ・グローバル クラスA(LBTYA)、フィンテック、統合クラウド通信、および従来の通信サービスのグローバルプロバイダーであるIDT(IDT)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初の水準を上回って推移しており、配当は昨年増配しています。

 プラス材料として、北米主要都市のビジネス中心地区における不動産活動の、新型コロナによる悪影響が和らいだため、賃貸活動や労働者のオフィスへの回帰が緩やかながらも改善を続けていることもあり、法人向けの状況が改善してきています。

 ただ、もともと業績の変動があまりない銘柄ですので、株価の大幅な上昇を目的として保有するよりは、中長期的に配当を目的として保有するのが望ましい銘柄ではないでしょうか。

業績動向

 2022年11月3日開示の四半期決算では、売上は市場予想を上回りましたが、1株利益は市場予想を下回りました。

 Sprint(T-Mobile Wireline)の有線部門の買収によって、1株利益が市場予想を下回りましたが、それによる株価への影響はほとんどありませんでした。

 オンネットインターネットサービス、オフネットサービスそれぞれの収益を合計すると、前年同期比の水準を上回っており、本業の部分は変わらずしっかりしていることが伺えます。

 次回2023年2月23日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。

注意点

 オンネットインターネットサービスを提供するビル数は、着実に増えています。ただ、職場出社の流れが再び逆流するようなことが起きた際には、業績に悪影響を及ぼす可能性がある点には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:3.66ドル
配当利回り:5.52%
株価:66.19ドル(約8,700円)

 この銘柄、権利落ち日は3月上旬の予定(権利実施は3月下旬)です。

 配当利回りは2月13日時点で5.52%、株価は66.19ドルでおよそ8,700円から購入できます(1USD=131円計算)。

 2020年からの最高値は90.75ドル、最安値は49.18ドルとなっています(終値ベース)。

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