米国高配当株1:パブリック・サービス・エンタープライズ・グループ(PEG)

 米国東部ニュージャージー州を拠点に子会社を通じて電気・ガス送配電事業を展開しています。

 送電、配電、クリーンエネルギーへの継続的な設備投資を行っており、米国でトップ10に入るカーボンフリーエネルギーの生産者でもあります。

 また、MSCIがパブリック・サービス・エンタープライズ・グループのESG格付けをAAからAAAに引き上げており、持続可能な経営が行われていることが客観的にも評価されています。

 時価総額は297億ドルで、日本円で約3兆9,000億円となっています(1USD=131円換算)。

事業の注目ポイント

 事業の中心は「パブリック・サービス・エレクトリック・アンド・ガス・カンパニー(PSE&G)」で、続いて「PSEGパワー(PSEG Power LLC)」となります。

「パブリック・サービス・エレクトリック・アンド・ガス・カンパニー(PSE&G)」では、送電事業、電力および天然ガスの配給事業を営んでいます。

 また、「PSEGパワー(PSEG Power LLC)」では、商業用原子力発電資産の運営をベースにそこからのクリーンエネルギーの販売・供給をおこなっています。

競合他社

 競合他社として、顧客志向で成長志向の公益事業会社であるブラック・ヒルズ(BKH)、主にミシガン州で事業を展開するエネルギー会社であるCMSエナジー(CMS)、ニューハンプシャー州、マサチューセッツ州、メイン州のサービス地域全体に電力とガスを配電する公益事業持株会社であるユニティル(UTL)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は昨年10月の決算発表以降右肩上がりで推移しており、配当は10年連続で増配をしています。

 パブリック・サービス・エンタープライズ・グループは事業再編を行っており、石炭火力発電から撤退し、発電は原子力に特化するなど選択と集中をすすめています。

 また、決算とは別で米国の利上げ減速期待の影響もあり、株価は昨年秋より上昇しています。

 次回、3月の配当でも増配が期待されており、安定的に中長期で保有できる銘柄ではないでしょうか。

業績動向

 2022年10月31日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。しかし、前年同期と比較して売上は上昇しているものの、1株利益は下がっています。

 これは、石炭火力発電から撤退したことによる利益率の低下や原子力発電の電力価格低下によるもので、次の決算ではこれらを織り込んだ数字が予想されています。

 パブリック・サービス・エンタープライズ・グループはカーボンフリーエネルギーに注力しており、連邦としてその需要が高まればさらなる業績拡大が期待されます。

 次回2023年2月21日に開示予定の四半期決算で、市場予想を上回る決算を発表できるか注目です。

注意点

 会社側も連邦および州の環境法および規制、ならびにその施行状況の変化によっては業績に大きな影響を及ぼす可能性があると指摘しています。

株価動向、配当利回り紹介

配当:2.16ドル
配当利回り:3.56%
株価:60.65ドル(約8,000円)

 この銘柄、権利落ち日は3月上旬予定(権利実施は3月下旬)です。

 配当利回りは2月13日時点で3.56%、株価は60.65ドルでおよそ8,000円から購入できます(1USD=131円計算)。

 2020年からの最高値は74.73ドル、最安値は36.86ドルとなっています(終値ベース)。

米国高配当株2:ビクトリーキャピタル・ホールディングス(VCTR)

 運用資産総額1,614億ドル(2023年1月31日時点)を有する多角的なグローバル資産運用会社です。

 アクティブおよびパッシブ運用の投資信託、ETF(上場投資信託)、変額保険商品、環境保護商品などさまざまな投資商品を提供しています。ビクトリーキャピタル・ホールディングスの提供するETFは「CIZ」、「VSDA」、「UEVM」、「UBND」などのティッカーコードで取引されています。

 時価総額は20億7,000万ドルで、日本円で約2,700億円となっています(1USD=131円換算)。

事業の注目ポイント

 事業は「投資管理事業(Investment management)」の単一事業となります。

 その中で売り上げの中心は「投資管理手数料(Investment management fees)」で、続いて「ファンド管理および委託手数料(Fund administration and distribution fees)」となります。

※直近の四半期決算(企業HPより)、筆者作成

「投資管理手数料」は顧客資産の運用による報酬で、主に運用資産の総額によって変動します。また「ファンド管理および委託手数料」は主にオープンエンド型ファンドの管理業務にかかる資産に基づく手数料となっています。

競合他社

 競合他社として、子会社を通じて、米国と世界中の機関投資家およびサブアドバイザリーチャネルで、多様な投資家ベースにサービスを提供するブライトスフィア・インベストメント・グループ(BSIG)、グローバルな民間市場投資ソリューションを提供するハミルトン・レーン(HLNE)、多様な取引所取引商品(ETPs)とそのモデルやソリューションを提供するグローバルな金融クリエーターであるウィズダムツリー(WT)などがあります。

株式の注目ポイント

 株価は年初から上昇して推移しており、配当は昨年増配しています。

 昨年末時点で、3年、5年、10年の各期間において、ビクトリーキャピタルHDの運用資産額がベンチマークを上回る割合は、それぞれ 84%、79%、79%となり、マーケット環境が悪い中でも好調なパフォーマンスでした。

 そういったことから、総運用資産額の減少は同業他社と比較して少なく済んでおり、自社株買いを積極的に進めていることも相まって昨年下落した株価のほとんどを既に回復しています。

業績動向

 2023年2月9日開示の四半期決算では、1株利益・売上ともに市場予想を上回りました。

 マーケット環境が悪かったこともあり、前年同期と比較すると業績は悪化していますが、それでも昨年9月末から昨年12月末にかけて、総運用資産額は3.9%増加しています。

 今後の同社の運用手腕や外部要因としてFRB(米連邦準備制度理事会)の政策にもよりますが、過去の実績ではビクトリーキャピタルHDの中長期運用はベンチマークを約8割程度上回っており、優れたパフォーマンスによる資金流入およびそれに伴う業績の回復が期待されます。

 次回は2023年5月16日に四半期決算の開示予定ですが、市場予想を上回る数字を出せるか注目です。

注意点

 ビクトリーキャピタルHDが株主還元を進めた結果、昨年から配当金を引き上げ利回りが3%台に、今年は4%台になりました。

 しかし、それ以前は利回りが3%を切っており、現在の配当金の実績は日が浅いので、市場環境が悪化した際に配当金の変動がある可能性には注意が必要です。

株価動向、配当利回り紹介

配当:1.28ドル
配当利回り:4.25%
株価:30.05ドル(約4,000円)

 この銘柄、権利落ち日は3月9日(権利実施は3月27日)です。

 配当利回りは2月13日時点で4.25%、株価は30.05ドルでおよそ4,000円から購入できます(1USD=131円計算)。

 2020年3月からの最高値は42.37ドル、最安値は12.93ドルとなっています(終値ベース)。