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 米国の12月米CPI(消費者物価指数)は、前月比▲0.1%、前年比+6.5%で、前月(+0.1%、+7.1%)に続いて伸びが鈍化した。

 インフレ率のピークアウトは、FRBの利上げがついに効き始めたということだ。リセッションという副作用の大きさを考えると、利上げはそろそろペースを落とす頃合いだという見方も広がっている。

 FOMC(米連邦公開市場委員会)は、4会合連続で0.75%の利上げを実施してきたが、12月会合では利上げ幅を0.50%に緩めた。今回は0.25%までさら緩める考えだ。

 さらに来年のいずれかの時点では「利下げ」との見方もでている。しかし、FRBはマーケットの行き過ぎた楽観論を決して快くは思っていない。

 ウォラーFRB理事は、CPIについて「ある時点のデータに過ぎず、あまり深読みしてはいけない」と警告する。現在の6%近いインフレ率は、FRBの目標値2%と比較して「とんでもなく高い」と指摘し、利上げ休止期待を完全否定した。

 ハーカー・フィラデルフィア連銀総裁は、0.50%利上げを「ハト派的」と考えること自体が間違いだという。「FOMCは1983年から合計88回利上げをしてきたが、そのうち75回は0.5%より低かった。」

 FOMC(米連邦公開市場委員会)は、今回0.25%、3月0.25%と利上げした後、休止モードに入る予定だ。現在4.00%のFF金利は、5.00%前後が打ち止めになるようだ。

 もっとも、投票権を持つ最右派のブラード・セントルイス連銀総裁は、「十分に引締め的な金利水準とは5.00%から7.00%である」として、マーケット予想を上回る水準までの金利引き上げを支持する。

 重要なことは、パウエルFRB議長をはじめFRBの多くのメンバーが、「政策金利の終着レートはまだ高くなるべきだ」という考えを持っていることだ。「利上げ減速」は累積効果を測定するためであって「利上げ停止」ではない。インフレの状況次第によっては加速することも十分ありえる。

 12月FOMC会合の議事録では、 2023年の「利下げはない」との考えをメンバー全員が共有していることが明らかになっている。

 パウエルFRB議長は、インフレ制御のためには、過熱している雇用市場を冷まさなくてはいけないと考える。就業者数が伸びないまま平均賃金上昇率の高止まりが続くなら、インフレ警戒を強め大幅利上げということもありえる。利上げ終了のハードルはかなり高い。FRBがハト派に転向したと考えるのは早いのだ。

今週の 注目経済指標

出所:楽天証券作成