先週の日経平均株価(225種)は前週比829円の大幅高。為替相場が安定し、米国の利上げがこの春に打ち止めになるという観測が流れたことが追い風でした。

 今週1月30日(月)~2月3日(金)は、米国の金融政策を決めるFOMC(連邦公開市場委員会)の結果公表が2月1日(水)(日本時間2日(木)未明)にあるほか、アップル(AAPL)をはじめとした米IT企業の決算発表が2日(同3日(金)早朝)にあります。

 基本的には上昇相場が期待できそうですが、米国のFOMCや雇用統計発表(3日)による急落、決算発表後の材料出尽くしでの反落もあり得るでしょう。

先週:利上げ打ち止め観測&インフレ指標鈍化でハイテク株が全面高!

 先週の日経平均株価は今年一番の上げ幅を記録しました。

 昨年12月に日本銀行が長期金利の実質利上げをしたことで急落しましたが、それ以前の水準を回復しました。

 長期金利の指標である10年国債の金利も0.4%台で安定。

 為替相場が1ドル=129円から131円台の水準で落ち着いたことも上昇継続につながりました。

 27日(金)には、総務省が国内物価の先行指数である1月の東京都区部のCPI(消費者物価指数、速報値)を発表し、生鮮食品を除くコアCPIが前年同月比4.3%増と、41年8カ月ぶりの高い伸びに。

 しかし、株価への影響は軽微でした。

 米国では、22日(日)に、米国の中央銀行にあたるFRB(連邦準備制度理事会)がこの春に利上げを停止するための検討に入るという、米紙ウォール・ストリート・ジャーナルの観測報道が流れ、金利低下が追い風となるハイテク株を中心に週明けから株価が大幅上昇しました。

 26日(木)に発表された米国の2022年10-12月期の実質GDP(国内総生産、季節調整済み)速報値は前期比年率換算で2.9%増と堅調でした。

 27日(金)発表の12月の個人消費支出の価格指数(PCEデフレーター)は、前年同月比5.0%上昇と、2021年9月以来1年3カ月ぶりの低水準まで鈍化しました。

 これら株価にとって追い風となる経済指標が相次いだこともあり、機関投資家が運用指針にしているS&P500種指数は前週比2.5%近く上昇。

 25日(水)に売上高・利益ともに市場予想を上回る2022年10-12月期決算を発表したテスラ(TSLA)が前週比33%超も上昇するなど、ハイテク株が集まるナスダック総合指数は4.3%高と、4週連続で上昇しました。

 日本株では年初から強い鉄鋼株の一角、東京製鉄(5423)が前週比12.7%高、インド子会社が好決算を発表した自動車メーカーのスズキ(7269)が11.8%高。

 成長株が集まる東証マザーズ指数も3週連続で2.3%高となるなど、ほぼ全面高のうれしい1週間になりました。

今週:FOMC、米IT企業決算、雇用統計で株価も大忙しの1週間に!?

 今週は、経済指標や日米企業の2022年10-12月期決算発表が相次ぎ、イベントが満載です。

 最も注目度が高いのは2月1日(水)終了の米国FOMCでしょう。

 参加理事の中には「0.5%の利上げが必要」という強硬派もいますが、米国のインフレ指標が落ち着きを見せ始めていることから、0.25%の利上げが濃厚です。

 ただ、株式市場は、続く3月21~22日のFOMCで0.25%利上げ、次の5月2~3日のFOMCで利上げ打ち止めといった希望的観測をもとに、先走り気味に上昇しています。

 パウエルFRB議長の口から、その希望を打ち砕くような金融引き締めに積極的な発言が飛び出すと、株価が急落する恐れもあるでしょう。

 翌2月2日(木)にはECB(欧州中央銀行)やBOE(英中央銀行イングランド銀行)も政策金利を発表。いずれも前回に続き0.5%の利上げが予想されています。

 米国の巨大IT企業の決算発表では、2月1日(水)夕(日本時間2日早朝)にフェイスブックの親会社であるメタ・プラットフォームズ(META)、2月2日(木)夕(日本時間3日早朝)にアップル(AAPL)、グーグルの親会社アルファベット(GOOG)アマゾン・ドット・コム(AMZN)の決算が発表されます。

 昨年2022年は、メタ・プラットフォームズ(META)が予想を下回る決算を発表したことでハイテク株の長期下落が始まっただけに、今回も注目です。

 2月3日(金)には1月の米国雇用統計が発表されます。

 前回の12月分では、インフレ率に強い影響のある平均時給の伸びが前月比0.3%増と予想を下回り、年初の株高につながりました。

 平均時給の伸び縮小はインフレの勢いが鈍化しつつある可能性があることを示しており、FRBが利上げ鈍化や停止をするかどうか占う材料となります。今回も平均時給の伸び率に大きな注目が集まりそうです。

※米国雇用統計に関して、詳しくはこちら:1分でわかる!雇用統計と株価の関係

 日本企業では、1月31日(火)に人気半導体株で前年末から株価が20%近く上昇しているレーザーテック(6920)が決算発表。

 2月1日(水)にはセンサー大手のキーエンス(6861)、2日(木)にはソニーグループ(6758)や国内金利の上昇を好感して株価が上昇機運の三菱UFJフィナンシャル・グループ(8306)、3日(金)には資源高で株価が上場来高値圏にある丸紅(8002)三井物産(8031)など、注目企業の決算発表が相次ぎます。

 いずれの銘柄もここまで急ピッチに上昇してきただけに、決算発表による材料出尽くしでいったん下落する可能性もありそうです。

 いまだFRB高官の多くはインフレ退治のために年内は高金利を維持すると主張しています。

 にもかかわらず、株式市場はインフレ鈍化の兆しを示す経済指標を頼りに、年初から勢い良く上昇してきました。

 今週は再びFRB vs市場の意見対立、見解の相違に焦点が当たる可能性も高く、波乱の1週間になりそうです。