雇用統計(米国)
米国の雇用状況を調査した最重要経済指標です。週の労働時間や業種別就業者数など計10項目以上発表されますが、最も注目される項目は非農業部門雇用者数と失業率です。
雇用が増加すると、個人消費の拡大につながります。米国は世界経済の中心であり、米国経済の約7割は個人消費が占めています。つまり、米国雇用統計をみれば世界経済の動向を占うことができるため、重要な指標とされています。
■最近の動向
労働者の解雇が比較的容易な米国では、景気が悪くなると雇用者数が大幅に減少します。新型コロナウイルスの感染が拡大した2020年4月の新規雇用者数は、前月比で2,050万人も減少しました。2022年に入ってからは、その反動で月間40万~60万人増が続いています。景気回復局面では25万人、好景気の局面では15万人程度の増加が目安となります。
米国では失業率が3%台後半だと、働きたい人がほぼ全員仕事に就くことができる「完全雇用」の状態と言われます。(日本の完全雇用は2%台中盤)
米国でインフレが懸念されるようになってからは、物価上昇圧力となる平均時給の伸びにも注目が集まっています。
■マーケットへの影響
雇用統計は事前に発表される予想値と結果の差が注目されます。乖離(かいり)が大きいほど、株式市場は大きく動く可能性があります。
一般的に、雇用統計の内容が良いと株価上昇に、悪いと株価下落につながりやすくなります。
また、米国の中央銀行FRB(米連邦準備制度理事会)が金融政策を決める際に重要視するのが雇用統計です。好景気のときに良い数字が続くと、FRBが金融引き締めに動くのではないかという思惑から、株価が一時的に下落するケースがあります。
反対に雇用統計の悪化が続くと、FRBが金融緩和に動く期待感が高まり、株式市場にとってポジティブなケースもあります。