2024年に新NISAが始まったら、何が変わるか?

 現行のNISA制度は2023年までで終わります。2024年から新NISA制度が始まります。ただし、新NISAになっても、上記に挙げた失敗をしないように気を付けるべきことは変わりません。

 新NISAになっても、特定口座などで保有中の有価証券を、NISA口座に移し替えることはできません。NISA口座で買い付けた銘柄だけが、NISA口座に入ります。

 新NISAになっても、2024年に付与されたNISA投資枠は、2024年中(受け渡しベース)に投資しないと消滅する点も同じです。ただし、1年間の非課税投資枠が360万円に拡大しますので、なかなか全て使い切るのは難しいと思います。

 また、新NISAになっても、課税口座と損益通算できないことも同じです。したがって、新NISAになっても、このリポートで挙げた三大失敗は、しないように気を付けましょう。

 新NISAは、現行制度とどのように変わるのでしょうか。ざっくり大きな違いだけ説明すると、以下の通りです。

相違点1 新NISAでは、成長投資枠(現行の一般NISAの後継)とつみたてNISAを併用できる

 現行NISAでは、一般NISAかつみたてNISAのどちらか一つしかその1年間利用できません。ところが新NISAでは、成長投資枠(現行の一般NISAの後継)とつみたてNISAの両方を使うことができます。

相違点2 新NISAでは、毎年新しく付与される非課税投資枠が360万円に大幅拡大

 現行制度では、毎年新しく付与される非課税投資枠は、一般NISAならば120万円、つみたてNISAならば40万円です。新NISAではそれが大幅に拡大します。成長投資枠(一般NISA後継)で年240万円、つみたてNISAで年120万円、合わせて1年間に360万円の非課税投資ができるようになります。

相違点3 新NISAでは、非課税投資期間が「無期限」に

 現行の一般NISAは5年、つみたてNISAは20年で非課税期間が終了します。終了後は、課税口座(特定口座など)に保有有価証券が移されます。

 新NISAは無期限ですので、NISA口座で買い付けた有価証券は、売却しない限り、恒久的に非課税投資が続きます。

相違点4 新NISAで生涯投資額の上限1,800万円が設定される

 新NISAでは、毎年360万円の投資枠が付与されます。もし毎年上限360万円の非課税投資をして一切売却しないと、5年で1,800万円(簿価ベース)の非課税投資ができます(成長投資枠は1,200万円まで)。それが生涯投資額の上限となるので、それ以上は新規の投資枠が付与されません。

 ただし、新NISAで投資した有価証券を売却した場合、上限1,800万円を超えない範囲で、新たに非課税で投資できる枠が復活します(簿価ベース)。ただし、復活した枠で投資できるのは、1年間では360万円までです。それを超える枠が復活した場合、2年以上をかけて投資していく必要があります。