今日の為替ウォーキング

今日の一言

人は、唯一の友としての自分と、唯一の敵としての自分をもつ

Invisible Touch

 日銀のYCC(イールドカーブ・コントロール)とは、長期金利の誘導水準を定め、その水準になるよう国債買入れを実施する政策。日銀は今から約7年前の2016年に、QE(量的緩和)からYCCに金融政策を転換している。

 日銀は、1月17、18日に開いた金融政策決定会合で、YCC政策を中心とした、現行の大規模金融緩和政策の「現状維持」を決めた。

 12月は何の前触れもなくYCCの変動幅を拡大したかと思えば、1月の会合では現状維持。日銀は辻褄を合わせるために、理解不能な表現でマーケットを煙に巻く展開する。FRBやECBが、マーケットとのコミュニケーションを重視し、不要な混乱をもたらさないよう注意を払っているのとは反対に、日銀はサプライズが大好きだ。

 日銀総裁は記者会見で、マーケットと日銀の考えは一致していないことを認めた。しかし同時に、マーケットの見方と日銀の見方は同じである必要はないと述べている。言い換えれば、日銀は見解の相違を認識するも、政策がそれに影響されることを容認しないという宣言だ。

「市場が金融政策の変更を期待して動いていたということがあったとすれば、それは是正されたと思う。」日銀総裁はこのように述べて日銀会合後の記者会見を締めくくった。中央銀行は常に正しいのだから唯々諾々と従っていればいいのだという、黒田総裁のマーケットに対するプチ勝利宣言である。

 黒田総裁は、異次元の緩和政策を長年続けた末、国の借金(国債残高)1,000兆円を国と国民に抱えさせたまま、後任にYCCの後始末を託して今年4月に退任する。

出所:楽天証券作成