今日の為替ウォーキング

今日の一言

クオリティーとは、誰も見ていないときに手を抜かないこと-ヘンリー・フォード

Mr. Blue Sky

 2023年はまだスタートして3週間しかたっていないが、すでに多くの重要指標が発表されている。

 これまでに発表された米国指標を振り返ると、まず5日に、昨年12月FOMC(米連邦公開市場委員会)会合の議事録が公表された。議事録では、メンバー全員が、2023年の「利下げはない」と考えを持っていることが明らかになった。労働市場のひっ迫がFOMCにとって引き続き最大の懸念材料となっていて、この状況を改善するために金利をさらに引き上げる必要があるとFRB(米連邦準備制度理事会)は考える。

 FRBがタカ派姿勢を保つなかで、発表された6日のNFP(米雇用統計の雇用者数)は予想を上回った。内容としてはドル高だったが、その前日に発表されたADP雇用データなど雇用関連のデータが軒並み強くマーケットの構えができていたため、ドル買いは起きなかった。逆に、米景気指数である非製造業ISMの弱い結果に反応してドル売りが強まった。

 12日に発表された12月米CPI(消費者物価指数)は、前月比でマイナスとなり、インフレ率の下落を確認する内容となった。ガソリン価格の大幅な下落が貢献した。FRB(米連邦準備制度理事会)が昨年のような0.75%や0.50%という大幅な利上げをする必要性はなくなった。

 一方で、米景気の状況はあまり芳しくないようだ。17日に発表された1月NY連銀製造業景気指数は、大幅に悪化し、12月の小売売上高も予想以上の落ち込みとなった。鉱工業生産は-0.7%で、米国の製造業が弱体化していることが明らかになった。マーケットは急速に米国のリセッションを織り込み始めている。

 来月のFOMC(米連邦公開市場委員会)で利上げ幅が0.25%に縮小されることはコンセンサスになりつつあるが、手遅れになる前に先手を打って利下げをする時期に到来しているのかもしれない。

 FRBは、過去に利上げを急ぎ過ぎたために、インフレをつくることができなかったという、トラウマで利上げを遅らせてしまい、結果としてインフレがFRBの目標値の4倍までに暴走することを許してしまった。

 今のFRBは、インフレが終息する前に利上げを止めて再発を許してしまった1970年代の失敗を恐れて、利下げをできないでいる。

 利上げ終了に向かうFRBとは対照的に、ECB(欧州中央銀行)は追加利上げに非常に前向きだ。ECBのクノット理事は「複数回の0.50%の利上げ」を計画していると述べ、ラガルドECB総裁は「インフレは極めて高い」と警告している。まるで9カ月前のFRBのようだ。日銀も、今年が本番だ。2022年は日米金利差拡大の円安相場だったならば、2023年は日米金利差縮小の円高相場になるだろう。

今週の 注目経済指標

出所:楽天証券作成