2023年はエキサイティング!新戦略は「債券60%、株式40%」

 ダブルライン・キャピタルのジェフリー・ガンドラックが最新のウェブキャストで2023年のマーケット見通しを披露した。今回のタイトルは「What's Going On(「何が起きているのか?」)。マーヴィン・ゲイの1971年の曲から取られたタイトルだ。

 ガンドラックは以前より、FRB(米連邦準備制度理事会)は後一回、2月に25bpsの利上げを行うだろうが、その後は利上げを停止せざるを得なくなると述べている。景気後退が迫っており、約75%の確率で景気後退に陥るとの予測だ。また債券市場については「インフレがピークに達し、後退していくことを完全に織り込み済みだ」とも指摘している。では、ウェブキャストでどのような見通しが示されたのか。一部を紹介していこう。

米国10年国債金利(月足)

(メガトレンドフォローver2.0の売買シグナル 赤:買いトレンド・黄:売りトレンド)
出所:トレーディングビュー・石原順インディケーター

急上昇する米国の利払い

出所:ダブルライン・キャピタル

 ガンドラックはFRBが次に行うQE(量的緩和)がどのようなものになるかについては、「QE4よりはるかに大規模になるだろう」との見通しを示している。

 そして、もしQEが行われるなら、「環境が十分に悲惨な場合であろう、例えば景気後退だ」と述べている。彼の推計によれば、米国の財政赤字はさらに10兆ドル増え、金利が4%と仮定すれば、返済額は年間1兆2,500億ドルになる。

 景気先行指標は「確かに」不況の様相を呈している。ISM(米サプライマネジメント協会)購買担当者調査も、米国が「不況の前兆」に向かっていることを示唆している。また、イールドカーブの反転も不況が近いと強い警告を出していることを忘れてはいけないとガンドラックは言う。

イールドカーブと景気後退(1978年1月1日から2023年1月6日)

出所:ダブルライン・キャピタル

 金利の急ピッチな上昇を背景に、株式が売られたとしても、債券市場は株式市場よりはるかに割安だと彼は述べている。

「債券のダウンサイドは株式より小さい」と。その結果、伝統的な60/40(株式/債券)のポートフォリオに代わって、「債券60%、株式40%」の配分を推奨した。あるいは、60対25対15のポートフォリオで、15%を「その他」の投資とするのがより良いだろうと述べている。

 2023年は「とてもエキサイティング」だとガンドラックは指摘。なぜならば1年前は債券も株式も「絶望的」だった。そしてその先は「ホラーショー」が起きるのではと考えていた。しかし、今は債券でリスクを平準化したりヘッジしたりする方法があるからだと語った。