今日の為替ウォーキング

今日の一言

愛国心とは野蛮な美徳である-オスカー・ワイルド

Boys Are Back In Town

 岸田首相は昨年の10月28日、「物価高克服・経済再生実現のための総合経済対策」を発表したことをまだ覚えているだろうか。財政支出39兆円、民間支出を含めると71.6兆円という空前の事業規模で(もっとも財源の大半は国債)、「物価高騰・賃上げの取り組み」などと共に「円安を活かした地域の「稼ぐ力」の回復・強化」が柱だった。

 しかし円安は、観光業など一部のセクターを除くと、多くの日本企業にとって、かつてのような利益をもたらしていないのが事実だ。製造業のほぼ4分の1はすでに海外に移転し、かつてのような為替レートとの関係も今は薄れている。

 日本企業を国内に呼び戻すのために政府が頼るのが「サステナブルな円安」だ。ところが、昨年10月に1ドル=148円だったドル/円レートは、すでに128円台、20円も円高に戻っている。岸田政権が満を持して発表した「円安対応」総合経済対策は、始まる前からオワコンになりそうな気配だ。

 今年の大幅な円安は、FRB(米連邦準備制度理事会)の金融引き締め政策が背景にだった。FRBは今年前半に利上げサイクルを終了することになり、入れ替わるように日銀が利上げに向けて始動することになれば、ドル/円がさらに円高に動くのは自明だ。

 財務省は去年、円安を抑えるための介入をしたが、今年は逆に円高を防ぐための介入をすることになるだろう。

今週の 注目経済指標

出所:楽天証券作成