今日の為替ウォーキング

今日の一言

行動のともなわないビジョンは、ただの白日夢。 ビジョンのない行動は、ただの悪夢

Like A Rolling Stone

 今夜発表の米11月雇用統計の詳細については「FRBは予想を間違えたのか?米失業率が8.0%に悪化するおそれも」をぜひご覧ください。

 今から約1年以上前の2021年11月、米国の失業率がまだ5.0%近くだった時、パウエルFRB議長は、「高失業率は一時的であり、経済が再開すれば元に戻る」という考えに基づいて、「失われた所得を補う」ことに全力を注いでいた。

 FRBの想定は(この時点では)正しかった。経済が再開すると同時に米企業が猛烈な勢いで採用を拡大した結果、失業率は過去半世紀で最も低い水準まで下がり、ほぼ完全雇用、いやそれ以上の状態になったからだ。

 ところが、皮肉なことに労働市場のひっ迫が今のFRBの最大の悩みとなっている。2022年12月に開催されたFOMC(米連邦公開市場委員会)の議事録によると、労働市場の過熱が取れ賃金の上昇が止まらなければ、たとえ目先のCPI(消費者物価指数)が下がろうとも、金融引き締め継続の必要があると記されている。

 米労働市場のひっ迫は、大退職時代(グレート・レジグネーション)と新型コロナ後の人材需要が重なったなどの理由があるが、政府の失われた所得を補うための給付金があまりにも手厚すぎたことも多くの「働きたくない人」を生んだといわれている。

 先進国に共通する労働市場の特徴は、労働不足と労働余剰の同時発生である。雇用の構造変化があまりに急激なため、適さない仕事や地域にいる人が多く存在している。ある業種、ある場所では深刻な人手不足なのに、別の業種、別の場所では人が余っている。例えばリモートワークの普及で人が増えている地域のコーヒーショップは少なすぎる一方で、人が少なくなったビジネス街のコーヒーショップは多すぎるといった現象が起きているのだ。

今週の 注目経済指標

出所:楽天証券作成