1月の中小型!今月のキーワードは…決算ストレス軽減

 コロナバブルの反動で2021年に東証マザーズ指数は17%下落し、金利上昇に伴うバリュエーション調整で2022年も26%下落。

 マザーズ指数の創設来、3年連続の値下がりは2006~2008年の1回だけ。今年はリバウンドもあるんじゃないの?ですが、前月(12月)の大幅安でムードの悪い年明けに。

 ひとまず、昨年12月のFOMCで利上げペースは鈍化し、今年後半には「利下げ」を視野に入れて動くプレーヤーも増えると見られます。

 逆流の逆流(アンワインドのアンワインド)で、グロース株の逆襲が見られる可能性は十分ありそうです。

 が…それは先の話。1月の中小型グロース株市場の展開を予想する上での重要事項を、いつも通り点検していきましょう。まず、少なくとも需給面は「改善」が見込めます。

 前月の下落理由のうち、IPOラッシュの弊害と節税目的の損出し売りの二大季節要因は通過しました。前者は買い手側の事情(IPOに買い資金が向かう)、後者は売り手側の事情(含み損の株を年内に売ってしまう)。

 とくに大きいのは、後者の売り手側の事情が一巡したことで、需給環境は「12月よりマシ」といえます。

 一方で、米国株の不調(地合いが悪い)に伴うセンチメント面は「悪いまま」。これに関しては、その背景にある不安要素は消えていません。

 米国株が年末にかけて軟調化した理由にあるのが、複数の景気指標の悪化を「景気減速懸念」として株式市場がネガティブな反応を見せていることに。

 そして、中国のゼロコロナ政策が見直されたことを当初は歓迎したものの、中国でのコロナ感染急拡大で、中国人渡航者の入国制限を逆に強める事態に変化してしまっています。

 売り手側の事情こそ改善しても、買い手側が萎縮したままでは上値を買い上げるパワーは期待できません。

 そんな中での1月相場。序盤は米国株の復調を待ちつつ、デイトレ勢の日替わり物色がメインになりそう。1月26日までIPOが空白ということによる直近IPO狙いとか、新聞材料などを手掛かりにしたテーマ株狙いなど…。

 ただ、1月第2週以降、霞ヶ関キャピタル(3498)FPパートナー(7388)のほか、直近IPOのELEMENTS(5246)note(5243)など中小型グロース株の決算発表が増えてきます。

 個別の業績にも目が向かう時期に入るため、決算リスクの大小も株価パフォーマンス差になりやすい時期と考えられます。

景気減速懸念に負けるな!来期も独自要因で成長期待高い中小型10銘柄

スクリーニング条件(1)来期コンセンサス増収率5%以上、(2)来期コンセンサス営業増益率10%以上(3)信用買い残比率5%未満、※時価総額が大きい順に列挙            

市場 コード 銘柄名 来期コンセンサス
増収率
来期コンセンサス
営業増益率
信用買い残
比率
時価総額 (億円)
グロース 9552 M&A総合 8% 19% 4% 1,203
グロース 6030 アドベンチャー 29% 61% 3% 697
グロース 4371 CCT 5% 11% 2% 436
スタンダード 8920 東祥 10% 51% 1% 431
グロース 9246 プロジェクトC 6% 10% 3% 344
スタンダード 2585 ライフドリンク 7% 13% 0% 337
グロース 6562 ジーニー 5% 25% 3% 214
グロース 6086 シンメンテHD 9% 12% 1% 150
グロース 6069 トレンダーズ 23% 23% 4% 140
スタンダード 7228 デイトナ 8% 10% 1% 127

 そこで今回は、アナリストによる業績予想が存在する銘柄の中で、来期のコンセンサスが増収(前期比5%以上)、営業増益(前期比10%以上)の銘柄のみ抽出。

 その中で、個人投資家の期待値の高さを示す「信用買い残」が、発行済み株数の5%未満(=大株主と呼べるほど多くない)の銘柄を残しました。

「景気減速懸念」という名の重しがある中で、「この会社は独自要因で伸びるんだから関係なくない?」と割り切れる中小型株。

 外部環境面で心配事だらけの2023年ですが、全ての銘柄が抱える決算ストレスくらいは軽くしたいところです。