今日の為替ウォーキング

今日の一言

「失敗したくない」と思えば思うほどココロの余裕を無くして失敗の連鎖が続き、
「失敗しても大丈夫」と余裕があれば、むしろ失敗を免れて、余裕が得やすくなっていく

I Think We're Alone Now

 通貨としての円の総合的な実力が約50年ぶりの水準まで低下している。日本銀行が公表したBIS(国際決済銀行)ベースの11月の実質実効為替レート(2010年=100)は58.44で、1972年以来約50年ぶりの水準まで低下している。

 実質実効為替レートとは、相対的な通貨の実力を測るための総合的な指標で、対象となる全ての通貨と日本円との間の2通貨間為替レートを、貿易額等で計った相対的な重要度でウエイト付けして集計・算出する。(日銀ホームページより)

 実質実効為替レートは、1995年の150台が最高で、現在はその1/3以下まで低下している。実効為替レートが高いほど対外的な購買力が強く、海外の製品を割安に購入できることを示す。反対に低いほど購買力が弱く、石油などの購入が割高になる。

 名目レートでいえば、円は固定相場制の時代だった1972年当時と同水準(1ドル=308円)程度まで低下している。1970年代前半といえば、ハワイが「お金を貯めて一生に1回か2回」やっと行けるような時代だった。たしかに、今ハワイ旅行にいってハンバーガー・セットを食べたら、それだけで10,000円がとんでいく。気軽に海外旅行に行く時代はもう終わったのかもしれない。あるアンケートによると、日本人のなんと約4割が「もう二度と旅行しない」と答えている。

 しかし、ドル/円にとって、2023年のリスクは、円安がこのまま進行することより以上に、日銀のハト派色が薄れることで、円のトレンドが転換することである。

 円のキャリートレード(円ショート)の大がかりな巻き戻しが発生すれば、急激な円高を引き起こされる可能性は高い。1998年に147.70円まで円安が進んだときは、その3カ月後にヘッジファンドのLTCMが破綻してたった2日間で30円も暴落した。

「歴史は繰り返さないが、韻を踏む」。歴史でまったく同じことが繰り返されることはないが、似たような出来事が起きることはたびたびある。

今週の 注目経済指標

出所:楽天証券作成