「ダウの犬」投資戦略にあらためて注目

 2022年は株価が平均的に下落したことで、個別銘柄の予想配当利回りは総じて上昇しています。そうした視点を含め、来年に向けた投資戦略として「ダウの犬」投資戦略にあらためて注目したいと思います。

「ダウの犬」(Dogs of the Dow)とは、1990年代に米著名投資家(マイケル・B・オヒギンズ)が著書の「Beating the Dow」(ダウ平均に勝つ)で紹介したシンプルな投資手法のことです。

 その手順は、(1)年末時点でダウ平均(ダウ工業株30種平均)に採用されている30銘柄から「配当利回り」の高い順に上位10銘柄を選別する。(2)選別した10銘柄それぞれに均等額分散投資を行い、そのまま1年間保有する。(3)1年後の年末に、再びダウ平均採用銘柄から配当利回りの高い上位10銘柄を選別して均等額分散投資を繰り返す(リバランスする)というもの。

 こうして、「1年に一度の売買」を年末もしくは年始に行うのみで、10銘柄から比較的利回りの高い配当を得ていくことになります。

<図表2>ダウ平均・高利回り10銘柄はダウ平均よりも優勢

(出所)Bloombergより楽天証券経済研究所作成(2021年末~2022年12月21日)

 図表2は、配当利回りの高さで選別した10銘柄の総収益を示す「ダウ平均・高利回り10銘柄指数」(Dow Jones High Yield Select 10 Index TR)とダウ平均の総収益の推移を比較したグラフです。今年は「ダウの犬」投資戦略で選別した銘柄群がダウ平均に対して優勢であったことがわかります(12月21日時点)。

 投資戦略というと、難しそうに聞こえるかもしれませんが、「ルール」(手順)通りに米国で「ブルーチップ」と呼ばれる優良株(ダウ平均採用銘柄)の中から、配当利回りが高い10銘柄を選ぶことを毎年繰り返すだけとなります。実際、年に一度の売買ですので、売買コストも抑制できる現実的な投資手法とも言えるでしょう。