3 ユアテック(1934・東証プライム)

 東北電力系列の電気工事会社です。東北電力向けのウエートは4割強の水準となっています。屋内配線工事や配電線工事が主力となっており、ほかに、空調管工事、土木建設工事なども手掛けています。

 東北各県や新潟県などを中心エリアに、国内80カ所超、海外2カ国に事業所を展開しています。風力や太陽光など再生エネルギー関連にも実績、2022年3月期は同分野で150億円程度の売上高となっています。

 2023年3月期上半期営業利益は8億円で前年同期比約2.1倍となっています。主力の屋内配線工事をけん引役に売り上げが拡大し、利益率の上昇にもつながりました。同社の場合、上期と下期で収益水準の偏重は大きいですが、上半期末の手持工事高は前年同期末比で8.0%増と順調に増加しており、下半期も堅調な推移が見込めそうです。

 会社側では通期予想100億円、前期比5.3%増を据え置いています。年間配当金は前期並みの28円を計画していますが、連結配当性向30%を目安としていることで、業績上振れならば増配につながるものとみられます。

 2022年は燃料費の上昇が電力業界を直撃し、東北電力も2023年3月期は大幅赤字見通し、ならびに、10期ぶりの無配転落を余儀なくされる見通しです。ただ、燃料費高騰の一服、さらには価格転換が見込める2024年3月期には収益の急回復が見込まれています。

 このような東北電力の収益回復は、同社への工事の発注増加、同電力向け利益率の改善にもつながっていくことが期待されます。さらに、政府が原発活用の方向に政策のかじを取りつつあることも、同社の原発関連工事の需要増加、一段の利益率向上を想定させるものとなります。

4 住友大阪セメント(5232・東証プライム)

 国内セメント業界ではシェアが22%程度、第2位を争う位置づけとなっています。太平洋セメントと比較すると国内売上の構成比が高くなっています。

 セメント事業のほか、建材事業、オプトエレクトロニクスやナノテクノロジーを生かした光電子事業、半導体製造装置用部品などの新材料事業を手掛けています。電池材料事業は前期において売却しています。政策保有株の売却に取り組んでおり、今後5年をめどに335億円の削減を想定しています。

 2023年3月期上半期営業損益は61億円の赤字で前年同期比約113億円の損益悪化となっています。期初計画は10億円の赤字でした。石炭価格や石油価格の上昇が想定以上に大きく響いたほか、為替の円安もネガティブに効いています。

 販売価格引き上げは進めていますが、想定通りの進捗(しんちょく)には至っていないようです。通期計画は57億円の黒字から一転、55億円の赤字に下方修正しています。なお、業績計画は下方修正しましたが、株式売却益などの計上を計画し、年間配当計画の120円、前期比横ばいは変更していません。

 石炭価格の上昇を中心にして、セメント業界は2022年に原燃料価格上昇の影響を最も強く受けたセクターともいえます。とりわけ、輸出比率が低い同社に関しては、円安のマイナス影響も相対的に大きかったとみられます。

 原燃料価格の上昇ペース鈍化、遅れている値上げの浸透、為替相場のモメンタム転換などを想定すると、2024年3月期の収益は急回復が予想され、割安なバリュエーション修正の流れも強まってくると考えられるでしょう。

5 ドウシシャ(7483・東証プライム)

 生活用品の卸売り企業ですが、ニッチ市場をターゲットとした商品の企画・開発・生産・販売などメーカー機能も有しています。取扱商品は、食品、ワイン、時計、バッグ、テレビ、衣料品、化粧品、ギフト関連など多岐にわたり、同様に販売先も、ホームセンター、ディスカウントストア、スーパーマーケット、ワンプライスショップ、家電量販店など多様です。

 販売先は4,800社、仕入先は2,100社に広がっています。EC事業、海外事業の強化に注力しています。

 2023年3月期上半期営業利益は38億円で前年同期比2.9%減となりました。期初計画の39億円をやや下回る着地でした。卸売型ビジネスは、有名ブランド関連やビューティ関連を中心に大幅増収増益となりましたが、開発型ビジネスは、均一ショップ向けの雑貨関連などを中心にして、原材料価格上昇などの影響が強まったようです。

 通期の業績予想では、営業利益は前期比16.7%増の83億円、配当は横ばいの60円とそれぞれ据え置いています。

 2023年前半にかけては、一般消費者にとってインフレ傾向が一段と強まり、生活防衛的な消費行動が強まると考えられます。ディスカウントストアやワンプライスショップなどに消費者の嗜好がシフトしていく可能性があり、同社にとってはこうした店舗向けPB(プライベートブランド)商品の販売拡大が期待される余地もあります。

 また、仕入商品では、海外メーカーの商品もあり、為替相場が円高反転の流れとなれば、原価率の改善も期待することができます。